研究課題/領域番号 |
15K11557
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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研究分担者 |
グレッグ 美鈴 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60326105)
益 加代子 大阪府立大学, 看護学研究科, 准教授 (80511922)
花井 理紗 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (70758705)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イングランド / Nursing Associate / 看護師不足 / 業務分担 |
研究実績の概要 |
2019年5月、英国において、准看護師(EN)養成停止後の経緯と、現在の看護師養成制度に関して関係機関で資料収集とインタビューを行った。 2017年7月、イングランド保健教育局(Health Education England: HEE)は、2年のNA教育のモデル事業を開始した。この背景には、イングランドの深刻な看護師不足があった。NA養成の目的は、看護職とケア労働への労働者の大幅な参入を促すこと、看護補助者とRNの間に橋を架けるという新たな役割を担うことである。 そこで本調査での主たる質問項目は次の3点とした。(1)1990年代のEN養成停止は看護師不足にどのような影響を与えたのか。(2)新たに創設されたNursing Associate制度(NA制度)について、過去にあった実業資格との違い、なぜ新たにNAが必要とされたのか、NAとRNとの間の役割分担や協働における混乱はないか。NAはRNの安価な代替労働力となる恐れはないか。 ヒアリングの結果は次のとおり。英国では准看護師養成停止による直接の影響は少なかったが年々看護師不足が激化し、優秀な看護補助者から看護師をリクルートするための方策としてNA制度が創設された。NA制度は、大学化によって門戸が狭まっていた看護師資格取得への道を拡大し、かつ、優秀な補助者をリクルートできる利点がある。ケアにおける計画立案・評価と、マネジメントやリーダーシップは看護師、NAはあくまで実務のみという明確な業務分担が、現実にどこまで可能かは未知数である。 NAは、看護師の安価な代替労働力ではなく、看護師へのキャリアコースとして活用していくことに主眼が置かれている。すでにNAから看護師へのコースに進む者が現れており、今後、看護師不足の解消策として有益ではないかとの期待が高く、注目していく必要がある。
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