研究課題/領域番号 |
15K11559
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研究機関 | 足利工業大学 |
研究代表者 |
中村 史江 足利工業大学, 看護学部, 講師 (20751184)
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研究分担者 |
佐藤 栄子 足利工業大学, 看護学部, 准教授 (20279839)
青山 みどり 足利工業大学, 看護学部, 准教授 (60258887)
山門 實 足利工業大学, 看護学部, 教授 (80538281)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス(WLB) / 看護師 / 組織変革 |
研究実績の概要 |
WLB推進取り組みの具体的なプロセスを明らかにし、その中から促進要因を探索する目的から、平成27年度は、夜勤勤務環境改善によるWLB推進体制に着眼した。まず、看護師の「勤務拘束時間13時間以内」体制を導入による効果と課題について文献検討から明らかにした。次に、これらの導入により効果を得た施設の文献から、その具体的プロセスと促進要因を探索した。対象文献は、日本看護協会が看護師の夜勤勤務環境改善のためのガイドライン骨子(案)を発表した2011年から研究開始した2015年8月までの5年間に「勤務拘束時間13時間以内」体制を導入した20件であった。分析方法は、レヴィン(1951)の「組織変革理論」を用いた。理論上変革段階は3 段階に分かれ、第1 段階の「解凍」は現在の均衡状態を流動的にする段階であり、初動の段階、第2 段階の「移行」は新しい知覚や行動を達成するための情報を探索・処理する動的段階、第3 段階の「再凍結」は新しい変革による均衡状態を組織の中に統合する・定着させる段階と定義されている。分析結果は、第1段階「解凍」の導入準備段階では、推進体制づくりと現状分析を行っていた。推進体制づくりでは、ビジョンの明確化など6つの要因があり、また、現状分析を行う業務量調査などから問題抽出を行っていた。第2段階の「移行」では、推進に向けた取り組内容としてプロジェクトチームの共通認識など6つの要因があり、導入の具体的対策として勤務規定の作成など7つの要因があった。第3段階の「凍結」では、導入後の評価と改善として課題解決に向け継続した取り組みなどであった。 今回の研究におけるWLB推進体制の具体的なプロセスは、成果を得た他の事業内容においても同様のプロセスから類似する促進要因になると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究1;看護職のWLB推進事業の促進要因探索】 調査内容とデータ収集;わが国の病院における看護師の「勤務拘束時間13時間以内」体制導入の効果と課題、及び、導入の促進要因について文献検討を行い論文にまとめた。レビンの変革理論を用いた分析結果を基礎資料としインタビューガイドを作成した。 現在、A看護協会のWLB推進事業へ参加し成果を得た施設へのインタビュー調査から看護職のWLBの促進要因の探索を研究するにあたり、大学の倫理審査委員会の審査にて承認を受けた。 【研究2;看護職のWLB推進事業の多角的評価】 作成方法;当該研究に関連した、日本看護研究学会、日本看護管理学会、日本看護科学学会へ参加した情報から、メンタルヘルス、自己効力感、ストレスコーピング、キャリアアップニーズ、学習ニーズ、職務満足度など検討を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
【研究1;看護職のWLB推進事業の促進要因探索】 プレテスト: WLB事業に参加した1施設を対象にインタビュー調査研究の協力を依頼し、同意を得た施設を対象に、作成したインタビューガイドを基に調査を実施する。プレテストの結果によりインタビューガイドを検討する。その後、A看護協会のWLB推進事業へ平成23、24年度に参加し3年間継続した施設を対象に、インタビュー調査研究の協力を依頼し、同意を得た施設を対象に、作成したインタビューガイドを基に調査を実施する。解析には専門家のスーパービジョンを受け、面接データをコード化し内容を階層化、類型化して分析結果をまとめる。同様に継続し、データを蓄積する。 【研究2;看護職のWLB推進事業の多角的評価】 学会参加し得られた情報などから尺度使用、自作の質問紙を作成する。平成28年度A看護協会のWLB推進事業に参加する2施設100~200名(4月現在)を対象に、調査用紙の印刷と配布の準備後に調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、研究1において、インタビュー調査の準備を行うためパソコンや解析ソフト、ICレコーダ等の物品の準備を行った。また、研究2においては、研究テーマに関する情報を得るため学会等に参加した。平成27年度に実施予定であったインタビュー調査に向け、次年度使用額が生じた予算を使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
研究1:栃木県内のワークライフバランス推進事業を終了した病院の看護部長等を対象に、具体的な事業内容や効果をあげる取り組み、実施の困難などに関するインタビュー調査を行ない収集したデータを質的に分析し、プロセスと促要因を明らかにする。予算は主に謝金、旅費に使用する。 研究2:尺度や自作の質問紙を作成し、平成28年度栃木県看護協会のWLB推進事業に参加した施設を対象に、プレテストを行なう。その後、郵送法にて調査する。予算は郵送法による質問紙調査費用に当てる。また、関連学会へ参加し情報を得る。
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