研究課題/領域番号 |
15K11564
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
丸山 昭子 共立女子大学, 看護学部, 准教授 (20338015)
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研究分担者 |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
吾妻 知美 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90295387)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アサーティブネス / 育児支援 / 看護師 / 職場 / 家族 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、将来的なアサーティブネス・トレーニングプログラムの開発を見据え、職場における子育てへの理解を深めるために、乳幼児を持つ女性看護師が職場においてアサーティブになれない状況とその理由を明らかにすることである。 申請者は、これまでに、乳幼児を持つ女性看護師のバーンアウトに関する研究を重ね、「職場の子育てに対する理解」やコミュニケーション能力の1つである「アサーティブネス」がバーンアウトリスクの要因であることを明らかにした。これらの結果をふまえ、乳幼児を持つ女性看護師の職場における関係性のもととなるコミュニケーションの状況を把握することが、バーンアウトやそれに起因する離職を予防し、「中堅」看護師の育成や「仕事と育児の両立支援体制」の構築につながると考えている。 本年度は、乳幼児を持つ女性看護師を対象に、アサーティブになれない状況とその理由について、質問紙調査を実施する計画であった。しかし、本年度から「子ども・子育て支援新制度」が施行され、地域の実情に応じた「認定こども園」の普及や新規事業として0~2歳が利用できる「地域型保育」が開始となった。本研究は、全国の乳幼児を持つ女性看護師を対象としているため、本年度は子育て支援体制の変化に応じ、対象者の状況にも影響がでることや地域格差が危惧された。 したがって、本年度は、新制度の状況を概観し情報収集することで、質問紙に加える項目等を共同研究者と協議、精査し、調査は次年度に繰り越すこととした。また、職場の理解だけでなく、家族というユニットでの視点が必要であることから、育児事情やワークライフバランス等の情報をグローバルな視点で獲得するため、国際家族看護学会に参加した。ここで得た知見を、今後の調査での結果やその考察につなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、乳幼児を持つ女性看護師を対象に、アサーティブになれない状況とその理由について、質問紙調査を実施する計画であったが、本年度から施行された「子ども・子育て支援新制度」の動向を見極めるため調査を延期した。 その理由は、本研究は乳幼児を持つ女性看護師を対象としているため、子育て支援体制の変化は研究結果に影響がでることが予測されたためである。特に、新制度の目的である、地域の実情に応じた教育・保育の場の普及や確保といった点では、地域格差や子どもの年齢による保育施設の選定などの課題が考えられ、「認定こども園」の普及や新規事業である0~2歳が利用できる「地域型保育」が少し定着するまでの期間を設けることが必要であると判断した。そこで、本年度は新制度の状況を概観し情報収集することとした。また、その間に、質問紙の内容を共同研究者と精査し、次年度の調査に向けての準備を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
子育て支援新制度による動向を生かした質問紙調査を実施し、分析までを実施する予定である。記述された状況の中から、「起こったこと」「行動したかったこと」「行動できなかったこと(相手を尊重できなかったことを含む)」「その理由」を抽出し、状況と理由別に、その状況の性質の類似性によってKrippendorff, K.(1980)による内容分析の技法を参考にカテゴリー化を行っていく。また、本年度得た情報、特に子育て支援新制度による地域格差や、国際学会で獲得した育児やワークライフバランス、家族の役割に関する知見なども考察に生かしていく予定である。 従来の計画では、次年度は調査の分析を実施する予定であったが、新制度を反映した調査用紙が完成しているので、次年度内に調査実施、分析までを終了できる見通しである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、育児支援に関する新制度の施行年であったため、調査結果に影響するという判断の元、質問紙調査を次年度に持ち越したため、調査に見積もっていた費用が次年度に持ち越された。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査を実施するため、それにかかる費用を次年度に使用する予定である。また、調査データの入力や分析に必要な分析ソフトの購入は、当初の予定通りに使用する見込みである。
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