研究課題/領域番号 |
15K11564
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研究機関 | 松蔭大学 |
研究代表者 |
丸山 昭子 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20338015)
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研究分担者 |
鈴木 英子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (20299879)
吾妻 知美 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90295387)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アサーティブネス / 育児支援 / 看護師 / 職場 / 家族 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、将来的なアサーティブネス・トレーニングプログラムの開発を見据え、職場における子育てへの理解を深めるために、乳幼児を持つ女性看護師が職場においてアサーティブになれない状況とその理由を明らかにすることである。 昨年度は、乳幼児を持つ女性看護師を対象に、アサーティブになれない状況とその理由について、質問紙調査を実施する予定であったが、「子ども・子育て支援新制度」の施行開始の動向を概観し、質問紙の再検討を行うため調査時期を延長し、本年度10月に調査を実施した。 全国の医療機関の検索が可能な「WAM NET(Welfare and Medical Service Network)」を用い、「総合」の標記のある300床以上の病院177施設の看護部長宛に研究依頼したところ9つの病院から協力を得たが、目標とする対象者数200に到達できない危惧があったため、研究者が研修の講師依頼を受けている病院2ヵ所にも調査を依頼し、合計11の病院の乳幼児を持つ女性看護師498人を対象に研究協力依頼と自記式質問紙を配布した。質問紙の内容は、属性とアサーティブネスの定義を説明した上で、過去1年間に職場で子育てに関わることで、「言いたかったけど言えなかった、断りたかったけど断れなかった状況(以下、言えなかった、断れなかった状況とする)」と、「言わなければよかった、押し付けなければよかった状況(以下、言ったり、押し付けなければよかった状況とする)」の相手、その内容と理由についてであり、自由記載形式で回答を求めた。 その結果、261人(回収率52.4%)から回答を得て、そのうち有効回答者218人(有効回答率83.5%)を分析対象とした。対象者の平均年齢は34.9±4.7歳であった。「言えなかった、断れなかった状況」は209件であり、「言ったり、押し付けなければよかった状況」は119件であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画では、記述された状況の中から、「起こったこと」「行動したかったこと」「行動できなかったこと」「その理由」を抽出し、状況と理由別にその内容の性質の類似性によってカテゴリー化を行う予定であった。しかし、昨年度調査時期を延長したため、当初計画していたKrippendorff, Kによる内容分析の技法による質的な分析は終了しているものの、信頼性・妥当性を高めるための統計ソフトであるSPSSのText Analytics for Surveyを用いたカテゴリーの分析、および看護の特殊性や専門性を熟知し質的研究にも精通している分担研究者との協議による信頼性・妥当性を高める作業の途上にあるため、計画よりやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施したKrippendorff, Kによる内容分析でカテゴリー化したものを、統計ソフト(SPSSのText Analytics for Survey)や分担研究者との協議により、信頼性・妥当性を高める分析を早急に進める予定である。また、当初より計画している公表に向けて、国内外の看護系学会誌に論文を投稿することで、本研究の目的である病院という職場での看護師の子育てに対する理解が深まるように、調査協力者や社会に結果を還元していきたいと考えている。 さらに、本研究の先行研究である乳幼児を持つ女性看護師のバーンアウトに関する研究を海外の看護学会で発表することで、海外での看護職と育児の両立支援に関する情報や知見を収集し、本研究の考察に活かす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、自記式質問紙調査を実施し、その結果の分析途上であるが、質的研究の内容分析を終了している段階である。本来は、分析ソフト(SPSS Text Analytics for Suuveys)を購入し、内容分析の信頼性・妥当性を高める予定であったが、今年度はそこまでに至っておらず、その分の費用が次年度に持ち越された。
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次年度使用額の使用計画 |
分析ソフト(SPSS Text Analytics for Suuveys)の購入にあてる予定である。
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