本研究の目的は、将来的なアサーティブネス・トレーニングプログラムを見据え、乳幼児を持つ女性看護師が職場において、アサーティブになれない状況とその理由を明らかにすすることである。 2016年10月に全国の「総合」の標記のある300床以上の病院の看護部長より承諾の得られた11の病院の乳幼児を持つ女性看護師498人を対象に自記式質問紙調査を実施した。質問紙の内容は、アサーティブの定義を説明した上で、過去1年間に職場で子育てに関わることで、「言いたかったけど言えなかった、断りたかったけど断れなかった状況」であった。その結果、回答のあった状況は、【理不尽な対応に関して反論できない(サブカテゴリ―:育休明けの勤務形態の変更、育休利用の不可、承諾なしの勤務体制の変更)】、【育児支援の配慮が足りないことを言えない(サブカテゴリ―:時間外の出勤要請、業務外の参加要請)】、【育児への理解不足を感じたが言えない(サブカテゴリ―:他スタッフの批判的な言動)】、【休みや早退の申し出ができない(サブカテゴリ―:急な子どもの体調不良、自分の体調不良、子どもの行事参加)】、【業務依頼を断れない(サブカテゴのリ―:委員会の委員選出、研修参加要請)】、【勤務交代を断れない(サブカテゴリ:急な夜勤、急な休日出勤)】、【残業を断れない(サブカテゴリ―:適量以上の仕事量、人手不足による超過勤務、急変時対応による超過勤務)】、【他スタッフに支援を頼めない(サブカテゴリ―:日頃の配慮に対する遠慮、頼みづらい雰囲気)】、【人事等に対する困惑が言えない、サブカテゴリ―:昇格人事への戸惑い、役割等免除によるジレンマ)】の9つに分類された。アサーティブになれない理由としては、病院という特殊な職場であること、日頃育児に関することで病棟に迷惑をかけているという遠慮、子育てに対する職場の配慮や理解不足が明らかとなった。
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