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2015 年度 実施状況報告書

地域包括的視点に基づく看護管理方法論の探究

研究課題

研究課題/領域番号 15K11566
研究機関聖路加国際大学

研究代表者

吉田 千文  聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (80258988)

研究分担者 伊藤 隆子  順天堂大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10451741)
佐藤 直子  聖路加国際大学, 看護学部, 助教 (20709498)
雨宮 有子  千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (30279624)
山田 雅子  聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (30459242)
佐藤 可奈  宮城大学, 看護学部, 准教授 (00757560)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード地域包括ケア / 看護管理 / アクションリサーチ / 理論創出 / 方法論
研究実績の概要

地域包括的視点に基づく看護管理方法論の探求と体系化を目的とする本研究の初年度は、以下の事項を実施した。1.研究方法論の検討:McNiffのアクションリサーチ論(以下、M- AR)を文献検討し採用する研究方法論の理解を深めた。M-ARに基づく本研究の方法は、看護管理実践において課題に直面している多様なヘルスケアワーカーと協働し、看護管理方法論の創出と共に研究者と参加者の意識や行動の変化によって現実の課題解決をめざすこと。進め方はあらかじめ計画した方法を実施するのではなく、対話を行うワークショップを行い、そこでの気づきを省察し次の行動を見出すという循環型創発的プロセスをとることとした。またARの質評価基準をもとに、研究の探求プロセスと、探求プロセスが現場の課題解決にどのように影響したのかを示すことのできるデータを継続的に収集して行くこととした。2.1.をもとに研究計画書を精錬させ研究倫理審査を受審して承認を得た。3.先行研究(地域包括的視点に基づく看護管理学の創出に向けたアクションリサーチ)のフィールドである関東地方のA二次医療圏で研究参加者の募集を行い、第1回実践者とのWSに31人の参加者を得て実施した。内訳は病院看護職、ケアマネ、地域包括支援センター保健師・主任ケアマネ、訪問看護師であった。4.地域包括的視点に基づく先駆的実践者を招聘し看護管理方法論について討議を行った。5.これまでの研究過程から以下のことが見えてきている。①一人の意識と行動の変化が他者に影響を及ぼし次々と連鎖的に地域の変化を起こす。②制度や慣習を越えた先駆的実践を組織化する際には手段が目的にすり替わる。③専門家は住民個別の世界に入り込み知ろうとするよりも自身の視点だけで評価し関わる傾向がある。④ケアの重要点は家族が生活での関係性を継続できること、専門家が複雑な状況下で最善の実践を判断する方法を知ること。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

問題意識の高い研究参加者を得ることができたことが理由の第一にあげられる。つまりまさに今、地域包括ケアシステム構築の取組みが市町村で進められており、保健師、ケアマネジャーを含む専門職が実際に地域包括的視点に基づく看護管理の課題に直面しその解決を模索している状況であり、本研究のテーマが現場の実践者にとって切実なもので研究者と実践者の問題意識が一致したということがある。また、研究者らがこれまで研究を行い信頼関係を築いてきた地域を研究フィールドとしたことで、各施設の研究への理解が得られるとともに、関心の高い研究参加者を得ることができた。
第二の理由として、研究班メンバーの研究方法の共通理解が行われ、研究遂行の基盤ができたことがある。研究者らは先行研究でアクションリサーチを経験しているが、研究の最初に方法論について文献検討したことで方法論を哲学的基盤から理解し共通認識をもつことができた。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、A二次医療圏内の3地区で、研究参加者と協働しミニWSを開催する。各地区2回(9月頃、12月頃)の予定である。各地区のWS開催においては、研究チーム全体でWSのテーマ、方法、調整方法について合意し、各地区の担当者が中心となって現場の研究参加者との相談・調整を進める。メールを用いて進捗状況を共有し、研究代表者と研究者チーム全体でWS開催に向けて支援する。WS当日には全研究者が参加する。そしてミニWSの後に研究者WSを開催し、WSでの気づきを省察して看護管理方法の重要点を継続的に探求する。
ミニWSの開催と並行しインタビュー調査を行う。地域包括的視点に基づく看護管理の先駆的実践者を対象とし、実践に関する思い・考え、実際の行動などを調査する。関東甲信越、東北地方から5地区5名程度を目標とする。
学術集会等で研究成果を公表しつつ、他の地域の看護管理者、看護管理学研究者の意見を得る。

次年度使用額が生じた理由

実施予定であった先駆的実践者へのインタビューを平成28年度以降に遅らせたことにより、旅費、研究対象者への謝金、テープお越し費の残金が生じた。
インタビューを遅らせた理由は、実践者とのワークショップを先行して行い、研究者らの問題意識をより明確にしたほうが、インタビューで得られるデータがより豊富で深いものになると判断したためである。

次年度使用額の使用計画

平成28年度は、インタビュー調査を当初の予定であった2地区から5地区に拡大して実施する予定である。残金は、候補者への研究依頼に関わる郵送費、旅費、謝金、及びテープお越し代として使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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