研究課題/領域番号 |
15K11569
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
安部 陽子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (30629449)
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研究分担者 |
鶴田 惠子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (70386788)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護職 / 職場環境 / 妊娠 / 出産 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,前年度に引き続き,看護職の妊娠・出産と関係する個人,看護単位,病院の特性を記述するための研究参加者への半構成的面接とデータの分析を行った。合計特殊出生率が低い東京,京都,北海道と高い沖縄,島根,宮崎の病院で働く看護職のうち,募集人数を満たしていなかった京都2名,沖縄3名,島根1名の計6名に対して,1人1回60分の半構成的面接を行った。研究参加者は合計で東京5名,京都5名,北海道4名,沖縄4名,島根4名,宮崎6名の28名になった。このうち①妊娠・出産をせずに同じ病院で4年以上働き続けている者は6名,②妊娠・出産の前後2年間同じ病院・看護単位で働き続けている者は8名,③妊娠・出産の前2年間同じ病院で働き続けているが妊娠・出産後看護単位を異動した者は7名,④妊娠・出産をきっかけに退職した者は5名,その他は2名であった。沖縄の病院で働く看護職で④妊娠・出産をきっかけに退職した者は募集できていない。 半構成的面接と平行して,面接内容を切片化・コード化し,個人,看護単位,病院,その他へ分類した。次に,分類したコードをそれぞれ帰納的に分析し,カテゴリ・サブカテゴリを抽出し,抽出されたカテゴリ・サブカテゴリからコードブックを作成した。その後,指示的内容分析の手法を用いてコードブックに基づいた面接内容の演繹的分析を行った。コードブックの作成過程では,個人については13コード(カテゴリ)と31サブコード(サブカテゴリ),看護単位については21コードと65サブコード,病院については11コードと29サブコード,その他に関しては4コードと16サブコードが抽出された。 また,前年度に収集した雑誌記事についてはその内容を一覧表にまとめ,文献検討を進めた。さらに,前度の研究成果について,日本赤十字看護学会および日本看護管理学会の学術集会で発表し,看護系雑誌に1論文を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究開始時における平成28年度の目的は,看護職の妊娠・出産と関係する個人,看護単位,病院の特性を測定するための質問紙の開発と,質問紙の心理測定学的特性を記述するための予備調査の実施であった。しかし実際は,その前段階である看護職の妊娠・出産と関係する個人,看護単位,病院の特性を記述するための研究参加者への半構成的面接とデータの分析を行った。 平成28年度の計画が遅れている理由として2点が挙げられる。まず,1点目として,沖縄の病院で働く看護職で④妊娠・出産をきっかけに退職した者の募集が非常に困難であった。沖縄は合計特殊出生率が高い都道府県の1つであるが,既に終了した沖縄の研究参加者の面接内容からは看護職が妊娠・出産後もさまざまな勤務形態等により働き続けていることが示唆されている。このような事実から,平成29年度も同研究参加者を募集し続けるのか,実現可能性も含めて検討する。2点目として,データ分析と研究メンバーのデータ分析に関する訓練が同時進行で行われていた。指示的内容分析は客観主義に基づく研究手法であり,研究メンバー間の分析結果の一致が求められる。データ分析を繰り返し行うことにより,データ分析に関する訓練を行う必要があり,この訓練に時間を要した。しかし,丁寧に訓練を行うことにより分析結果の一致度は上がってきている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は面接調査・データ分析を終了させ,看護職の妊娠・出産と関係する個人,看護単位,病院の特性を記述する。さらに,文献検討では,収集した雑誌記事の内容についてすでに一覧表にまとめているため,その内容を総括し文書化する。そして、半構成的面接調査と文献検討の結果を合わせて文書化する。文書化された看護職の妊娠・出産と関係する個人,看護単位等の直接の職場,病院等の組織の特性をもとに7段階のリッカートタイプの質問紙を作成する。その後,6名程度の専門家より意見を聴取し、質問紙の内容を修正する。そして,修正した質問紙を用いた予備調査の準備を行っていく。 面接調査については,沖縄の病院で働く看護職で④妊娠・出産をきっかけに退職した者の募集・面接の期限を設定し,期限内に募集できない場合は調査を次の段階(質問紙の作成)へ進める。データ分析に関する訓練は6月には終了する予定であり,その後は最終的な分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は予定していた研究参加者1名分の募集・面接が行われなかったため、謝礼(図書券2000円)の支出が抑制された。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度支出が抑制された経費は、平成29年度に予定される研究参加者の面接への謝礼(図書券2000円)として使用する。
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