研究課題/領域番号 |
15K11570
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
秋山 美紀 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (10434432)
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研究分担者 |
廣島 麻揚 (鈴木麻揚) 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (60336493)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レジリエンス / 看護師 / 幸福 / ウェルビーイング / ポジティブ感情 / 感情労働 / ポジティブ心理学 / マインドフルネス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護師のレジリエンスを高めるプログラムを作成し、それを実行することで、看護師の幸福度を向上させ、継続勤務意欲を高めることが可能なシステムを確立することである。 その初年度として、2015年度は文献レビューを行い、レジリエンス研究の概要や既存の介入方法を調べた。また、既存のSPARK Resilience Programを用いて、看護学生を対象に介入研究を行った。 看護学生18名(最終解析は11名)に既存のSPARK Resilience Programを行なったところ、最初のセッション(強みの発見や気分転換のグループワーク)において、ネガティブ感情が有意に低下し、資質的レジリエンスが有意に向上した。ネガティブ感情の低下は8週間後も有意傾向が見られた。学生の感想シートの質的分析の結果、強みや気分転換のグループワークで、自分の知らなかった新たな自分を発見したことや、ネガティブ感情を持っているときは物事の捉え方を見直すなど、ネガティブ感情に対処する方法を得られてよかったことが語られた。この内容は、2016年6月に、8th European Conference on Positive Psychologyにて発表予定である。 また、2015年12月に広島で行われた日本看護科学学会では、「看護師のレジリエンスを高めるためのセルフケア‐ポジティブ心理学の技法を用いて‐」というタイトルで交流集会を開いた。レジリエンスとは何か、レジリエンスを高めるアプローチとはどんなことかを解説し、ポジティブ心理学を応用したセルフケアの技法を身につけ、看護の現場でどのように活かせるか共に考えていくことを目的とした。100名近く参加者が来場し、何かストレスとなることが起こった時、どのようにしてネガティブな感情のループから抜け出すか等ワークを通して、レジリエンスについて普及する機会とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献レビューに関しては、当初レビュー論文か学会発表を予定していたが、まだ行っていない。しかし、看護学生に対して、既存のSPARK Resilience Programを用いた介入研究は、予定通り実行しできた。2016年6月に学会発表出来る予定である。 看護科学学会での交流集会は、当初は予定していなかったが、ぜひレジリエンスやレジリエンスを高める方法を普及したいという思いから、計画し実行できた。 文献レビューの発表に関しては計画していたものから遅れはあるが、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は、当初、看護師を対象とした質的研究を行うこととレジリエンスプログラムを確定する予定であった。しかし、プログラムの確定年度は2017年度に延長することとした。理由は、マインドフルネスの技法も取り入れることを検討しているので、看護学生を対象としたマインドフルネスの効果についての介入研究と看護学生を対象としたレジリエンス講義の効果について検証したいと考え、これらを行った上で、レジリエンスプログラムを確定したいと考えているからである。レジリエンスプログラム確定は、2017年度に持ち越すことを検討している。さらに、実施病院を増やしたいので、研究期間を延長し、本研究で完成したプログラムの介入は2018年度を構想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた学会発表が、平成28年度に持ち越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に行った成果の学会発表を行う。 平成28年度に予定している質的研究に際し、インタビューにかかる諸経費(録音機器、旅費、謝金、テープおこし)介入研究にかかる諸経費(教材費、旅費、謝金、情報機器)に使用予定である。
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