3年間にわたって調査してきた災害看護専門看護師の役割について、最終年度は災害看護専門看護師を活用あるいは協働する災害拠点病院の看護管理者、都道府県看護協会、全国の統括保健師を対象として、災害看護専門看護師に対する期待を調査し、地域包括ケア時代の災害看護専門看護師の役割期待を明らかにすることを目的とした。日本赤十字広島看護大学の研究倫理審査委員会の承認を得た後、「災害看護専門看護師の役割(修正版)」の内容について、災害拠点病院の看護部長731名、看護協会47名、統括保健師369名に2018年10月~12月にかけてアンケート調査を実施した。 その結果、災害拠点病院239名(32.7%)、看護協会36名(76.6%)、統括保健師167名(45.3%)から回答を得て、全体としては445名(38.8%)であった。基本属性としては、災害拠点病院と統括保健師は50代が最も多く、看護協会は60歳以上が大半を占めていた。専門看護師との職務経験の有無は、看護協会が一番多く6割を超えており、災害拠点病院は5割で、統括保健師は6割が職務経験がなかった。災害看護専門看護師の存在の認知については、看護協会が8割を超えており、災害拠点病院が6割を超えているが、統括保健師については5割にとどまった。 地域包括ケア時代に求められる役割については、それぞれの対象から概ね肯定的な意見を得られた。6つの役割の中では、地域包括ケア時代で特に注目すべき内容は、地域防災計画の中での調整役割、要配慮者に対する継続したケアの実践、倫理調整等の役割であった。災害時に災害支援ナースの派遣等で協働することが多い看護協会については認知度が高いが、統括保健師にはまだ認知されていないということが判明した。これからの地域包括ケア時代に向けて、在宅にいる要配慮者のケアについて協働していくことにより、認知度が高まりることが期待される。
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