研究実績の概要 |
訪問看護師の職場環境は、病院内で勤務する看護師とは異なる特性がある。サービス利用者(以下、利用者)宅へ原則一人で訪問する。利用者宅は密室性が高く、人を攻撃するためのあらゆる道具が豊富に存在する。これらは、暴力被害の危険性が高い訪問看護師の職場環境の例である。訪問看護師のための暴力の危険予知トレーニング(以下、暴力のK Y T)プログラムの作成と効果の検討を目的として、2019年度は次の4つを行った。 1)学会での示説発表:利用者による訪問看護師への暴力に関して、全国質問紙郵送調査(平成28年度実施)の結果について発表した。5割超の訪問看護ステーションで利用者の暴力があり、利用者の暴力が稀とはいえない状況がある。本研究で挙げた安全体制の7項目のうち6項目は12.8~38.8%で,安全体制整備へ取組む訪問看護ステーションは未だ少ない状況にある(日本産業看護学会)。本研究で挙げた安全体制の有無と各暴力には有意な関連がみられなかったことから、安全体制の有無だけでなく、体制の在り様についてより詳細に知ること、他にどんな取り組みをしているのかを知る必要がある(日本在宅ケア学会)。地域連携の高得点群は、低得点群よりもサービス担当者会議と多職種連携会議で暴力について話し合った経験”あり”が有意に高かったことから、良好な地域連携は、暴力について話し合える環境づくりに重要だと考えられる(World Academy of Nursing Science)。 2)「訪問看護師版暴力のK Y T場面集」(改訂版)作成。暴力のK Y Tプログラム作成。 3)暴力のKYTプログラムを用いた訪問看護ステーションで研修:訪問看護師の他に介護職、事務職なども参加し場面集を用いたGWで、チームで暴力対策について話し合う方法について指導を行った。 4)暴力のKYT研修の終了後、研修の効果について郵送質問紙調査の実施。
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