研究課題/領域番号 |
15K11578
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹原 君江 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (70709865)
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研究分担者 |
常深 祐一郎 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (00361478)
峰松 健夫 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (00398752)
大江 真琴 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60389939)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病足病変 / フットケア / アセスメントツール / 足白癬 / 早期発見 |
研究実績の概要 |
足白癬は糖尿病足病変のリスクを高める危険性があるため、早期に発見し適切な治療を行うことが重要である。しかし、足白癬は自覚症状に乏しく、乾燥などの他の所見と類似していることから気づかず適切な治療に結びついていない現状がある。さらに、類似した所見が多いことから臨床所見のみで足白癬を判断することは不適切な治療につながり悪化の危険がある。足白癬の診断には一般的に直接鏡検法という検査を行う。この検査は足部より角質を採取すること、顕微鏡で菌要素を確認する必要があり、これらの技術習得にはある程度の訓練が必要である。そこで、医療者や患者が簡便に足白癬をアセスメントできるツールを開発することにより足白癬のアセスメントが手軽にできるようになり、足白癬の早期発見につながるのではないかと考えた。 初年度は白癬菌が角層に侵入する際に分泌するケラチナーゼに着目し、ブロッティング技術とザイモグラフィの技術を用いて、ケラチナーゼが存在する部分が脱色する方法を実験的に検証した。まず、蛍光標識法という感度の高い方法を用いてタンパク質を標識し、確かにケラチナーゼが検出できることが確認できた。しかしこの方法はケラチナーゼを確認するために特殊な光源が必要であり簡便性に欠けるものであった。 そこで次の年度では特殊な光源を用いずにケラチナーゼが検出できる方法を検討した。さまざまな染色方法を検討した結果、金コロイドを用いた染色法でケラチナーゼが検出できそうであることが確認できた。現在は次の段階として臨床での本ツールの妥当性を検証する準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
簡便に視認可能な染色方法を探索するのに予想以上に時間がかかったため。現在、臨床での辺損妥当性調査に向け準備を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
臨床において糖尿病患者を対象に足白癬アセスメントツールを使用し、一般的な足白癬の診断方法である直接鏡検法との併存妥当性を検証する。 臨床での検証を進める中にあたって予想される課題として、足白癬患者の病変部から検出されるケラチナーゼ量がかなり少なく、うまく検出されない可能性が考えられる。また、ケラチナーゼ以外の酵素の影響により偽陽性が出る可能性もある。これらのようなさまざまな事態が起こった場合はその都度検討し、より感度の高い染色方法の検討やケラチナーゼに特異性の高い方法の再検討などを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
足白癬アセスメントツールの臨床での妥当性の検証を行うための物品を購入する必要がなくなったため。 国際学会への参加を予定していたが事情により参加を取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、足白癬アセスメントツールの臨床での妥当性の検証を開始するため、調査および関連実験に使用する物品を購入する予定である。
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