研究課題/領域番号 |
15K11579
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松井 希代子 金沢大学, 保健学系, 助教 (90283118)
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研究分担者 |
稲垣 美智子 金沢大学, 保健学系, 教授 (40115209)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 糖尿病腎不全 / 療養認識 / 認識パターン / クオリティオブライフ |
研究実績の概要 |
【目的】昨年度に作成した2型糖尿病性腎症患者における「療養認識パターン分類」の一つである「高肯定感」パターンは1年後においても腎症の進行を阻止し、維持あるいは改善することを確認する。なお、2型糖尿病性腎症「療養認識パターン分類」は8項目からなる質問項目を用いて「高肯定感」「現実逃避」「原因不明感」の3つに分類するものである。 【方法】17名を対象に調査開始し、1年後、継続調査できた11名。除外6名は、転勤、脳梗塞、病型の変更、認知機能の低下の各1名と未調査2名である。調査内容は、1.療養認識;糖尿病性腎症療養認識、2.療養状況;1)食事・運動・薬物実行度、2)身体状況(腎症期、Hb,HbA1c、BP、尿中アルブミン、尿中タンパク、Cr、GFR)、3)自己効力感とした。本研究は、金沢大学医学倫理審査委員会より承認を得て実施した。 【結果】1.パターン分類の検証。1)療養認識は、「高肯定感」「現実逃避」「原因不明感」の3つに識別可能であった。2)1年後の療養認識は、高肯定感を維持は5名、1名は原因不明感となった。現実逃避は維持1名、高肯定感2名、原因不明感1名であった。原因不明感は維持1名であった。2.療養パターンと腎症の進行との関係 1)身体状況は高肯定感で維持は5名であり、1名が悪化していた。現実逃避と原因不明感も各1名悪化していた。2)食事・運動・薬物の実行度は、平均点は高肯定感が高く11.4点であり、他の認識から高肯定感になった者は不変あるいは上昇していた。3.自己効力感は、大きな変化は見られなかったが現実逃避が昨年同様今回も高得点であった。 【考察】療養認識の変化は、高肯定感はそのパターンを維持する傾向があり、現実逃避は変化しやすい、また、原因不明感はどの認識からも変わりうる可能性が示唆された。療養パターンと腎症の進行との関係としては、高肯定感が維持しやすいといえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
継続観察の2年目で除外となった方が4名となった。経過追跡の人数が減少し、療養認識の持ち方の影響が表れにくくなったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
新規の糖尿病腎症患者を追加することで継続観察者を増加することしたい。 また、療養認識が変化した対象には、生活状況について面接をしたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助者が業務に慣れ、予想より短時間で作業できたため人件費が予想より低くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度未使用額と29年度配分額を合わせハーバード大学医学部附属ジョスリン糖尿病センターに糖尿病教育システムの情報収集に行くことに使用する。
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