【目的】今年度は、2型糖尿病腎症患者の3つの療養認識パターンの一つ「高肯定感」認識パターンをもつ患者が、2015または2016年に調査開始後、3~4年目となる2018年も腎機能の進行を阻止し維持することを確認することである。 【方法】対象は、A県の総合病院に外来通院中の2型糖尿病性腎症(2~4期)患者で、2015~2017年に継続調査した11名、及び2016~2017年に継続調査した13名、合計24名であった。研究デザインは、縦断的調査であった。調査内容およびデータ収集方法は、身体状況(腎機能);腎症期、Hb、HbA1c、BP、尿中Alb、尿中P、Cr、GFRを、それぞれ診療記録から収集した。分析方法は、初回調査時に「高肯定感」・「原因不明感」・「現実逃避」の各認識パターンに分類された患者の腎機能のデータの比較を行った。腎機能は、慢性腎臓病(CKD)重症度分類を用いて評価した。本研究は、金沢大学医学倫理審査委員会より承認を得て実施した(No.588-1)。 【結果】「高肯定感」認識パターンは12名であり、改善1名、維持7名(4年維持4名、3年維持1名、1グレード悪化後改善1名・維持1名)、悪化4名(シャント作成1名含む)であった。「原因不明感」認識パターンは7名であり、改善1名、維持4名(4年維持0名、3年維持3名、1グレード悪化後維持1名)、悪化2名であった。「現実逃避」認識パターンは5名であり、改善0名、3年維持1名、悪化後維持2名、悪化2名(死亡1名含む)であった。 【考察】「高肯定感」療養認識パターンは、年数経過後もパターン維持の割合が高く、腎機能悪化を阻止する割合も他の認識パターンより高い傾向にある。「現実逃避」認識パターンの悪化割合が高く、この認識パターンをもつ患者への介入方法の検討が必要である。
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