研究課題/領域番号 |
15K11591
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
澄川 真珠子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20432312)
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研究分担者 |
斉藤 重幸 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60253994)
澄川 靖之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00555526)
赤坂 憲 札幌医科大学, 医療人育成センター, 助教 (70468081)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 神経障害 / 神経伝導速度 / 振幅 |
研究実績の概要 |
神経伝導検査装置DPNチェック(HDN-1000)は、純感覚神経である腓腹神経の神経伝導速度(CV)と振幅を簡便に量的に評価することが可能である。腓腹神経の基準値はCV50m/s以上、振幅>10μV程度といわれている。また、重度の神経障害患者では、振幅波形が十分でないため量的データが算出できない場合がある。さらに、CVと振幅の値から神経障害重症度を4段階に分類できる機能が付属している。糖尿病患者にDPNチェックを適用した報告が少ないため、DPNチェックによるCV、振幅、神経障害重症度と他の神経障害評価指標、足病変など足潰瘍発症リスク指標との関連を検討。 糖尿病患者76名152肢(66.4歳、糖尿病歴14.5年、HbA1c7.2%、身長161.3cm)にDPNチェックを用いて左右の腓腹神経のCV、振幅を測定し、神経障害重症度(年齢、性別、身長で補正済)を4段階分類。同時に、足潰瘍発症リスク評価指標として、糖尿病合併症、足病変や自覚症状の有無を確認し、他の神経障害評価(触圧覚、アキレス腱反射(ATR)、振動覚)、血管障害評価(ABI、CAVI、足背動脈触知)を実施。CV;142肢49.0m/s、振幅;144肢9.9μV。CVは身長と有意な相関がみられたが、性別、年齢による有意差なし。またCVは、しびれ・感覚鈍麻の自覚症状有、触圧覚低下、ATR低下、白癬症、重度の網膜症・腎症の患者で有意に低値であった。一方、振幅は有意差なし。神経障害重症度は、正常88肢、軽度32肢、中等度22肢、重度10肢であり、男性、しびれ・感覚鈍麻の自覚症状有、白癬症、足背動脈触知不良、重度網膜症・腎症の患者で重症度の高い人が有意に多かった。CVは、足病変や他の神経障害評価指標と関連を認めた。また、神経障害重症度は、他の神経障害評価指標、白癬症、糖尿病合併症、一部の血管障害指標との関連を認めたことから、足潰瘍発症リスクを客観的に把握するツールとして有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集について、おおむね順調に進展しており、途中経過ではあるが、2016年5月開催の日本糖尿病学会での発表も予定している。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度から行っているデータ収集を、対象患者が100名程度に達成するまで継続するとともに、フットケア専門外来における足潰瘍発症リスク評価にDPNチェックを適用し、神経障害新指標の有用性を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
統計ソフトSPSSの購入について、新バージョンが出てからの購入を待つため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年4月に発売予定の統計ソフトSPSS新バージョンを購入する。
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