研究課題/領域番号 |
15K11593
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
浅井 美千代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (20212467)
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研究分担者 |
青木 きよ子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50212361)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / セルフケア / セルフマネジメント / 関節保護 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ患者が関節負荷を防止するには、病気の悪化を予防し自分らしい生活を維持する方法を見出すことが必要になり、そのためには、患者によるセルフケア、とくにセルフマネジメントが重要になると考えられた。 我が国においては、「セルフマネジメント」「セルフケア」「自己管理」の3つの言葉が交錯して用いられる現状がみられるといわれているため、我が国の「慢性疾患におけるセルフマネジメント」の概念分析を行った。論文タイトルに「セルフマネジメント」を含む国内看護文献を基に、WalkerとAvantの方法を参考に分析した結果、属性として、「病気の経過を監視し、悪化を防ぐ行動をとる」「病気・治療によるライフスタイルへの影響に対処する」などの5つ、先行要件として、「健康管理の必要性を自覚する」「自己効力感がある」などの4つ、帰結として、「症状が緩和できる」「病気の悪化移行を予防できる」などの4つが導き出された。 我が国の慢性疾患看護の論文における「セルフケア」「自己管理」の用法についても検討した結果、「自己管理」は、病気の悪化予防行動の管理状況を指し、「セルフケア」は、病気の悪化予防や苦痛緩和のための行動とそれによる生活の安寧というQOLの視点を含んでいた。また、「セルフケア」と「自己管理」は、いずれも健康問題に自己決定的に取り組むという主体性を重視した活動と能力を含み、プロセスを含まない概念として用いられていた。これらより、「セルフマネジメント」に特徴的な属性は「プロセス」であるととらえられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節負荷防止のためのセルフケア支援を明らかにするためには、患者のセルフマネジメント状況をアセスメントする必要があるという見解に至り、セルフマネジメントの概念について明らかにすることに取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
関節リウマチ患者のセルフマネジメント状況を明らかにすることが、関節負荷防止に向けた患者への個別的な支援方法を見出すためのいとぐちになると考え、慢性疾患におけるセルフマネジメントの概念分析により抽出された属性を下位項目とした関節リウマチ患者のセルフマネジメント状況を測定する尺度の開発をする。 平成28年度は、関節リウマチ患者のセルフマネジメント状況を測定する質問項目の作成を行う。まず、今年度実施した概念分析により抽出された属性を基に、リウマチ患者のセルフマネジメントの特徴に即した質問項目を作成する。 次に、質問項目の内容的妥当性及び表面的妥当性を検討するために、関節リウマチ患者の看護における経験豊富な看護師・看護研究者、関節リウマチ専門医による専門家会議の実施、及び、関節リウマチ患者10名程度を対象としたパイロットスタディを実施する。これらを経て、質問項目の選定、表現、順序について検討し、修正する。 平成29年度は、作成した質問項目の信頼性・妥当性を検討する。試作のセルフマネジメント状況測定項目、外的基準尺度、セルフマネジメントの影響要因(概念分析から抽出された先行要件と帰結を基に構成する)から構成した質問紙調査を、リウマチ患者500名を対象に実施する。 信頼性の検討は、セルフマネジメント状況測定項目の下位尺度の対応質問項目に対するクロンバックα係数を算出し、内的整合性を検討する。妥当性の検討は、構成概念妥当性を確証的因子分析により検討し、併存妥当性を、試作尺度と外的基準尺度との相関関係から分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
関節リウマチ患者のセルフマネジメント状況を測定するための質問項目を明らかにするための概念分析に時間を要し、患者への調査の実施が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙の作成に向け、調査項目の内容的妥当性と表面的妥当性を検討するための専門家会議の実施と、関節リウマチ患者へのパイロットスタディの実施に使用する予定である。
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