研究課題/領域番号 |
15K11594
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡部 節子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80290047)
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研究分担者 |
森 みずえ 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50317070) [辞退]
金嶋 祐加 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80513986) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在宅療養者 / 感染対策 / 感染看護専門看護師 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年、増加しつつある感染看護を専門としている看護師、つまり感染看護専門看護師が介入することにより在宅における療養者の感染予防に対する効果を検証することにある。 平成27年度は、国内における訪問看護ステーションにおける利用者の感染状況及び訪問看護ステーションに勤務する看護師の感染対策の現状を把握することを目的に設置主体の異なる訪問看護ステーション3施設やY市健康部地域医療推進課などを訪問し、その結果と 先行研究などを基に調査用紙を作成した。 平成28年度は、調査用紙のプレテストの結果から国内における訪問看護ステーションに依頼をしても回答率が低いことが推察された。そこで、Y市内における訪問看護ステーション全23施設を利用している療養者を対象にすることとした。その結果、回答施設は7施設(回答率30.4%)、研究協力者(療養者)431名であった。在宅療養者は、高齢者が多く、女性が占める割合は60%と高く、医療処置に関しては、尿留置カテーテル挿入が約11%と最も多く、ついでHOT、吸引、胃瘻、ストーマ、CVカテーテル挿入などで、多くの対象者が何らかの医療処置を受けていることがわかった。 平成29度は、同様の対象者に対して過去1年間の感染の有無と感染症の種類、日常生活状況(食事、排泄、清潔など)を調査した。その結果、感染症罹患率0.63、感染症有病率15.0%であった。また、ロジスティック回帰分析から示された感染症罹患に関するリスクファクターは、「パーキンソン病有り」「慢性呼吸不全有り」「その他の皮膚疾患有り」「口腔ケアを自分でできない」の4項目であった。以上のことから基礎疾患があり、セルフケアに支援を要する在宅療養者は感染症罹患のハイリスク者であり、特に誤嚥性肺炎、肺炎の予防が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、全国調査を実施する予定であったが、プレテストを実施する中で単なる郵送法による調査では療養者の個々の背景や医療処置の有無と関連要因などを正確に把握することは困難であることがわかった。そこで、昨年度、Y市の訪問看護ステーションに直接もしくは電話などで具体的な調査目的や内容を説明した上で調査協力を依頼することに変更するなど研究計画書の修正などに時間を要したために少し遅れた。また、今年度は正確なデータを収集するために感染症の有無と種類に関して過去に遡るのではなく、前向きの調査を実施したことで少し遅れることになった。しかし、感染症やリスクファクターなど確実なデータを収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、訪問看護ステーションを利用する在宅療養者の感染症罹患の有無、感染症の種類などを前向きに調査し、その結果と背景や医療処置、日常生活状況との関連を分析し、 感染症の実態とリスクファクターを明確にした。そこで、今後は、感染症の実態とリスクファクターをもとに在宅療養者の感染予防に向けた感染看護専門看護師の介入方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】全国の訪問看ステーションを対象に郵送法にて調査を実施する予定であったが、回答率の低さや正確さなどを鑑み、Y市内の全訪問看護ステーション(23施設)に変更したこと。さらに23施設のうち、7施設の協力であったこと。調査法について郵送法から訪問看護ステーションの看護師に依頼したこと。 【使用計画】 昨年度は、前向き調査で1年間の感染症の有無、感染症の種類を把握し、在宅療養者の背景、医療処置、日常生活状況などの項目と関連を分析し、リスクファクターを抽出した。そこで、今後はそれらをもとに訪問看護ステーションに勤務する看護師や、利用している在宅療養者に対して感染看護専門看護師の介入方法について検討する。
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