研究課題/領域番号 |
15K11595
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
明石 惠子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20231805)
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研究分担者 |
森木 ゆう子 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70374163)
江口 秀子 大阪青山大学, 健康科学部, 准教授(移行) (90512343)
中神 克之 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (20551237)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 倫理的行動 / 救急看護 / 新卒看護師 / ジレンマ |
研究実績の概要 |
本研究では、救急看護師に必要な救急患者の倫理的問題に適切に対応できる能力の修得に寄与する教育方法の構築を目指している。そのために①救急部門に配属された新卒看護師および他部署経験後の看護師の配属後3年間における倫理的行動の修得のプロセス、②救急領域における倫理調整を業務とする急性・重症患者看護専門看護師の倫理的行動修得のプロセスの2点を明らかにすることを目的としている。 令和2年度は目的①について、分析対象4名(A~D)における就職1年後の倫理的行動尺度得点と面接の結果を分析するとともに、就職半年後の結果と比較した。 倫理的行動尺度得点が先行研究の結果よりも高かったのは看護師AとBで、CとDは低かった。面接調査においてAは、患者の希望に沿う排泄ケアができない場面や不穏患者に対する抑制場面でのジレンマを述べた。危険防止という無害と人間らしい生活という自律尊重の対立を捉えていた。Bは、家族のDNAR表明によって輸液のみで長期間管理された蘇生後脳症患者について、そのような状況の継続が患者にとって本当に良かったのか、と疑問を感じたことを述べた。Cは、アルコール中毒患者に対する他の医療者のネガティブな態度を捉え、どのような患者にも平等に接するべきであると述べた。Dは、反応のある患者とない患者への接し方が違うことを自覚していた。誰にでも平等に接する必要があるが業務への焦りが平等な看護を妨げると述べた。 就職半年後は、倫理的判断に必要な基礎的情報を整理する能力が未熟で、すべて先輩看護師に報告・相談をしている状況であった。また、看護師の専門的価値より個人の価値観や感情を優先していた。今回分析した就職1年後の結果からは、倫理原則を用いて自分が感じたジレンマを説明したり、他の医療者の行動について倫理的な視点で疑問を感じたりするようになっていたことがわかった。
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