研究課題
看護基礎教育では講義、演習、臨地実習で看護専門的知識を習得する。講義では教科書や専門書を用いて専門用語を交えて理解するが臨地実習では、日常の意思疎通のために施設の文化的背景をもって発展してきた自然言語が加わる。本研究では看護専門分野の一領域として救急に関わる看護教科書や書籍と自然言語の記述が含まれる看護学生の実習記録をデータとして救急看護に関する専門用語を構造化し看護教育として実用性の高い救急看護コーパスのデータベースの構築を試みた。2018年度の研究成果は、昨年度までに収集した実習記録と教科書等の専門書を形態素解析分析を行った救急看護の独自辞書の原案辞書データを語、品詞、読み方に注目して日本語研究者による言語として側面からの確認と救急看護の専門家による語の再確認作業と分類を行った。結果、「**的」「**下」や「**時」などの接尾辞からなる語を除いた7180語が独自辞書として精選する事ができた。実習記録の形態素解析との比較を行ったところ476語が精選した救急看護用辞書と重なっていた。学生の記録は救急看護で用いられる用語として抽出された7180語彙の1割に満たない救急看護専門用語を使用して実習の記録を行っていた。教科書と実習課題の関連性について見たところ救急看護の概念は救急医療システム、救急看護の対象の理解は患者・家族の置かれる環境、心理ケア、観察とアセスメントは観察の用語と一部一致していた。しかしながら、学生記録には救急で行われる医療処置や薬剤名は少なかった。実習で治療について説明を受けても実習記録にできるまでの専門的な用語理解には至っていないことが推察され、実習記録における救急看護専門用語の使用頻度にも一致する傾向であった。以上から学生の使用頻度は少なくとも治療、薬剤についての用語は必要であり、救急看護教育には必要な専門用語のデータベースが作成された。
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