研究課題/領域番号 |
15K11598
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
九津見 雅美 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60549583)
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研究分担者 |
大村 佳代子 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (30722839)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血友病 / 保因者 / 連携 / 高齢化 / 患者会 / 継続看護 / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
平成28年度は、医療者への聞き取り調査の継続と分析、血友病患者会のサマーキャンプでの指導方法の計画・実施・評価を行った。臨床の看護師、看護系研究者、社会学系研究者で構成される研究チームで取り組んだ。 【聞き取り調査】1980年代の薬害HIV事件以前から血友病患者への看護に携わっていた看護師1名への聞き取り調査を実施した。この聞き取りデータおよびこれまで得られた12人の聞き取りデータの分析を行い、血友病医療における医師・看護師と保健医療福祉職との連携の実際について明らかにし論文とした。血友病患者に関する保健医療福祉職間の連携とその経験として、<情報の要約><情報の把握と共有><他職種間の関わり><同職種間の関わり><地域で在宅療養生活をする患者を支える>という5つのカテゴリが導かれた。連携する過程において、情報の把握と共有の難しさ、看護師が感じる医師との関わりの難しさ、医療そのものの不確実さによる相談の難しさという連携を阻害する困難を経験していることが示された。平成28年度から実施予定であった患者・家族・保因者への聞き取り調査については実施できなかったが、医師・看護師が提供してきた医療やケアが患者・家族・保因者に如何に受け取められてきたのかに関するインタビューガイドの作成を行った。 【サマーキャンプでの自己注射などに関する指導方法の計画立案・実施】当初の研究計画になかったが、患者会からサマーキャンプにおいて自己注射指導に関する依頼があり、本研究チームで取り組んだ。手指衛生と自己注射指導の2本立てで指導案を作成し、既に自己注射手技が確立した患者と、手技習得が確立していない患者を2グループに分け、対象にあった指導を実施した。血友病患者への療養指導のあり方、サマーキャンプへの医療職の参画のあり方について論文化を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していなかった血友病患者会サマーキャンプでの療養指導として手指衛生・自己注射指導の計画立案・実施を行ったことで半年ほど研究予定が遅れている。しかし、本研究課題は病院と在宅をつなぐ看護ケアを明らかにすることであり、患者会での指導のあり方を考えることは、本研究にも寄与するものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度からは患者・家族・保因者が受けてきた医療や看護、ケアに関する聞き取り調査を実施する予定である。すでに1病院の倫理審査を経ており保因者の紹介を得ている。また患者会から、聞き取り調査に応じてくれる患者・家族・保因者の紹介をしてもらう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度から実施予定であった聞き取り調査開始が遅れているため、旅費の使用額がすくなくなったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度からは患者・家族・保因者を対象とした聞き取り調査を実施予定であり、聞き取り調査に応じてくれる対象者がいる地域への旅費として使用予定である。
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