研究課題/領域番号 |
15K11598
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
九津見 雅美 大阪府立大学, 看護学研究科, 准教授 (60549583)
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研究分担者 |
大村 佳代子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30722839) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血友病 / 保因者 / 病いを知ること / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
【調査概要】平成30年度は血友病患者8名と家族2名へのインタビューを実施し、インタビュー実施総数は27名(患者11名、家族7名、医師6名、看護師3名。別途看護師6名を対象にフォーカスグループインタビューを実施した)となった。聞き取り内容は、患者や家族には血友病をどのように知ったのか、医療とのかかわりはどのようなものであったか、医療職に対してはどのような医療や看護を提供してきたのか等である。 【結果概要】患者本人は自身が血友病であるという説明を医師や親などから受けた記憶をはっきりと語る者は多くなかった。近年の血液凝固因子製剤の進歩はめざましく、世代によって受けてきた医療が大きく異なることは明らかであるが、患者は出血による痛みを経験しながら、療養生活の中で徐々に血友病であることを‘なんとなく’知っていったということがどの世代においても同様に語られた。 看護師によってどのようなケアが提供されてきたのかについて患者に尋ねたところ、看護師からのケアは受けた覚えがないという語りがみられた。定期的に外来受診を行っている血友病患者に対する看護師のケアはあまり認知されていなかったが、このことは患者にとっては療養生活上困りごとなく過ごせてきたという解釈もできる。患者に認知されないところにおいて看護師が何らかのケアを行っている可能性も考えられることから、この点については看護師を対象とした血友病患者・家族への看護の実際に関するアンケート調査を次年度実施し明らかにする必要がある。 患者の母は子どもが血友病であることを通して自身が保因者である可能性に気づいていた。保因者である可能性を母親自身が知らない場合医療職による介入が難しいが、遺伝疾患であることを踏まえた上で母親が直面している課題に着目した支援を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は1件の学会発表に留まり論文化までには至っていないが、当初予定していたインタビュー調査を終え、最終年度の調査および発表・論文化等の準備は整っている。研究代表者の九津見が平成30年度4月に大阪府立大学に異動し、その関係でスケジュールに遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の予定として、血友病患者が外来通院している病院や診療所等に勤務する看護師へのアンケート調査を実施する予定である。その調査の実施および集計・分析を行い学会発表および論文化を行う予定である。6月にはICN大会(国際看護師協会の大会)に参加し、インタビューデータの分析結果を発表するとともに、血友病患者への看護について情報収集をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していなかったが、インタビューデータを対象者の了解が得られたものについて全文を報告書として残すことを考えているため、その報告書作成費用として費用が必要であるため。
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