研究課題/領域番号 |
15K11601
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
張替 直美 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10238206)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 二次元血流計 / 末梢循環動態 / フットケア / 足浴 / 運動負荷 |
研究実績の概要 |
【研究背景と目的】糖尿病や透析患者のフットケアにおいて、末梢循環動態の評価に二次元血流計を用いたフットケアの「見える化」を実現することが最終目的である。今年度は建常人で基礎実験を行い、二次元血流計の特性を把握した。 【研究方法と結果】健康な女子大学生11名(平均年齢21.1歳)を対象に、100ワットのエルゴメ-タ-運動(15分間歩行相当)後、湯温38℃の足浴を行った。足浴有と足浴無(対照)とで、経時的に二次元血流計による血流測定とサ-モグラフィによる表面温度測定を行った。1.二次元血流計測定では、足背よりも拇趾(親指)の方が血流量が多く、血流変化も鋭敏な傾向にあった。その理由は、拇趾(親指)は足背と比較して血流測定範囲の大部分を爪床(つめの下の粘膜)が占め毛細血管の分布が多いこと、爪はレーザーを貫通しやすいことが考えられた。2.運動直後と足浴(有無)直後の二次元血流による血流変化とサーモグラフィによる表面温度の変化は真逆であった。その理由は、血流は運動後に全身の循環血液量の増加に伴い上昇するが、その後の足浴(有無)直後は減少する。逆に、表面温度は運動直後は素足が空気にさらされることや発汗により減少し、その後の足浴(有無)直後は増加するためと考えられた。 【研究の成果と今後の展望】以上のことから、二次元血流計による足部の血流測定においては足背よりも拇趾(親指)の方が血流量が多く鋭敏な変化が測定できると考えた。また、二次元血流計は表面温度とは異なる末梢循環動態を示していることが確認された。 現在、次年度の臨床患者への測定に向け大学での倫理審査を受けている。同時に、形成外科の医師やフットケア外来のナースと今後の研究内容と方法について定期的な打合せを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次年度の臨床測定に向けて、平成27年度内に大学および病院での倫理審査を通過することが理想であった。しかし、現在まだ大学での倫理審査の途中であり、病院の倫理審査もこれから受けなくてはならないため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、まず大学の倫理審査で承認を得ること、次に病院の倫理審査で承認を得ることである。臨床測定において、足の病態や症状による二次元血流計の見え方の特徴を検討するため、形成外科で足病変患者の測定を行うことを追加したこともあり、病院の倫理審査の承認は必須の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた機器の費用が予算より高く購入不可能であった。そのため、機器をレンタルに変更し物品費が殆ど残った。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の残額は、機器レンタル料の継続に加え、臨床測定で改良された機器レンタルによる大幅なレンタル料の増額と最終年度に国際学会への参加・発表の旅費等に充てる予定である。
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