研究課題/領域番号 |
15K11606
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高島 尚美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00299843)
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研究分担者 |
西開地 由美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50712725)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ICU入室患者 / 人工呼吸器管理 / コンフォート / ディスコンフォート |
研究実績の概要 |
ICUで12時間以上人工呼吸器管理を受けた患者のディスコンフォートだけでなくコンフォートを含めた経験を明らかにするために、聞き取り調査結果を分析した。研究方法は、1施設のGICUに入室し12時間以上人工呼吸器管理を受けた認知障害のない成人患者を対象とした。ICU退室決定後の退室前に、「ICUに入室して感じたことや考えたこと、経験したこと」について半構造化面接法で聴取し、質的記述的分析を行なった。 対象は96名(平均年齢70.1歳、男性74名・女性22名)で、入室中の経験は198コードから32サブカテゴリ、最終的にディスコンフォート5カテゴリとコンフォート6カテゴリが形成された。ディスコンフォートは、<生命を脅かされる苦痛>等から【身体的な辛さ】が、<回復できないという悲観的観測>等から【心理的・精神的苦痛】、<知覚・感覚のズレ><時間が分からないことでの混乱>から【知覚・感覚・記憶のズレに伴う苦痛】が、アラーム音や照明などの<環境的なストレス>等から【環境的ストレス】、さらに<適時なケアがなかったことでのストレス><医師の言葉や説明による不安>から【ストレスを引き起こされたケア・治療態度】が形成された。一方でコンフォートは、<抜管での安堵><口渇や痛みの緩和>から【身体的苦痛からの解放】、<現実を意味づけることでの納得><おまかせ>から【心理的・精神的安寧感】、<スタッフの対応への安心感>等から【ケアリングと治療成果による安心感】、等が形成された。 ICU入室患者は、苦痛などのディスコンフォートがあるが故にそれらから解放されたことでコンフォートの経験をしていたことが特徴的であった。また治療や処置に対して自分なりの意味づけやおまかせをして受容することで安寧感を獲得する対処をしており、生や死を意識し自身を振り返る経験もしていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務が多忙で研究のための時間確保が難しいため。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属施設変更に伴い、新たなフィールドの開拓の上で研究計画を立案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査計画が予定通りにすすまなかっため。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費で使用し、研究補助者を有効に活用することで研究計画をすすめる予定である。
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