研究課題/領域番号 |
15K11609
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
山本 直美 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (70305704)
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研究分担者 |
登喜 和江 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (00326315)
杉浦 圭子 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (10563877)
日坂 ゆかり 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30730593)
山居 輝美 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (50326287)
湯浅 美香 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (70583342)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳卒中患者 / 認定看護師 / 実践活動評価尺度 |
研究実績の概要 |
平成28年度は前年度に収集した脳卒中リハビリテーション看護認定看護師(以下、脳卒中認定看護師)8名のインタビューデータを質的記述的アプローチによって分析した。明らかにしようとするのは「脳卒中認定看護師としての看護活動実態」である。 分析の結果、看護活動実態は大きく8カテゴリ、33サブカテゴリを抽出した。抽出された8カテゴリは、「専門的な臨床判断に基づいたベッドサイドケア」「看護の質を担保する認定の自己反省と起動力」「患者主体と生活全体を看る確固とした看護観の表明」「看護実践場面の直接的教育活動と病院内外の教育活動の企画運営」「組織横断的看護実践活動による医師や他の医療者との円滑な連携協働」「地域で暮らす脳卒中患者への継続看護実践と看護活動の場の拡大」「臨床実践評価の研究的思考力と継続学習力」「組織運営活動要求と看護実践活動意欲における自己コントロール力」であった。この8カテゴリを下位尺度として、『脳卒中リハビリテーション看護実践活動評価尺度(仮)』の原案作成を行った。サブカテゴリごとに、質問項目となる表現を2~3コード選択し、意味を損ねないように質問項目の表現に整えた。その結果、121項目の質問項目で構成される尺度原案を作成できた。121項目になるまでに研究者間で内容分析に十分な時間を使い討議を重ねた。 この分析を通じて、認定看護師は、人材の有効活用といった点から中堅管理職との兼務におけるメリットデメリットを抱え、少なからず自己のアイデンティティーに揺らぎがあると思われた。また、看護活動の範囲は病院から地域へと広がり、脳卒中予防の啓蒙活動など、脳卒中医療の予防的側面も視野に入れた包括的看護活動となっていることが明らかになった。さらに、脳卒中患者を対象とした「看護専門外来」での活動は、看護活動の独自性を表明するものであり、継続看護の要として今後の発展が期待されると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Phase 2に位置づいている尺度開発に関する研究活動は、尺度原案ができ、概ね予定通りに進んでいる。今年度の前半では本調査に入る予定であったが、尺度原案の整理に時間を要した、プレテストから本調査へ進める段階で、尺度の妥当性・信頼性の吟味に時間を要すると考える。そのため、年度後半に予定しているPhase 3への準備に入れない可能性もある。尺度の吟味に関しては、今後の研究の発展にとっても重要な活動であり、十分な吟味を重ねていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で第一段階の分析を終え、尺度原案の作成に取り組んできた。平成29年度以降は、「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の看護活動評価尺度(仮)」の妥当性・信頼性の検討をプレテスト・本調査と重ね、尺度を洗練させていく研究活動を推し進めていく。 面接データの分析を通して、尺度化を進める視点での研究の方向性とともに、一方で、認定看護師の活動実態ををとらえることもできた。認定看護師が何をしているのか(あるいは何をすべきなのか)が明らかになればそれは評価の視点でもある。実際に脳卒中認定看護師の実践活動の実態は、今回の質的分析アプローチによって明らかになっている。したがって、質的研究の結果として公表していく必要があると考える。また、医師とリハビリテーションのセラピストを対象とした認定看護師に関する評価的視点は、期待される看護活動の明確化にとって重要な研究的観点である。これらの語りデータに関しても脳卒中認定看護師の活動の認知について質的分析を進めている。この視点からも整理していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の計画では、プレテストを年度の後半に実施する予定であった。実施方法も当初は郵送法での実施で経費の見積もりをしていた。しかし、プレテスト実施が遅れていることが最大の原因である。また、データ収集方法に関して、新たにWeb回答を検討していることから、脳卒中ケア研究会のホームページの新システム採用に関する協議を分担研究者間で行ったことにによってさらに時間を要し、プレテストの実施に関連した支出ができていない。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には、プレテストおよび本調査の実施が予定されている。そのためWeb回答へのシステム採用(スマホ対応)に関するメンテナンスやデータ管理等の諸費用がかかること、さらにデータの入力整理分析等を外注予定であること、さらには、今年度は分析のための研修や研究成果のための研究会や学会発表を予定し、その交通費等の経費がかかるなどによって、平成29年度には、昨年度の繰越金は使用できると考えている。
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