研究課題/領域番号 |
15K11610
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
吉村 弥須子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (10321134)
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研究分担者 |
梅下 浩司 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60252649)
久保 正二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80221224)
師岡 友紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40379269)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体肝移植 / ドナー / 妊娠 / 出産 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生体肝移植ドナーの妊娠・出産の体験と妊娠・出産に伴う問題点を明らかにし、生体肝移植後に妊娠・出産を体験するドナーに必要な医療支援について検討することである。当該年度の実施計画は、前年度に引き続き面接調査を実施するとともに、 データの分析、成果の発表を行うことであった。生体肝移植後に妊娠・出産を体験したドナー7名の面接結果を分析し、第53回日本移植学会(旭川)にて発表した。 演題:生体肝ドナーが肝提供後に子どもを持つことの思いと影響要因 【目的】本研究では、生体肝移植ドナーの子どもを持つことに対する思いを明らかにし、今後の医療支援について示唆を得た。【方法】生体肝移植後に妊娠・出産を体験したドナー7名を対象に、半構成的面接調査を実施した。面接内容は許可を得て録音し逐語にした。生体肝移植ドナーの子どもを持つことに対する思いとその影響要因について語られている文脈を抽出しカテゴリー化した。本研究は本学および実施施設の研究倫理委員会の承認を得た。【結果】子どもを持つことに対する思いは、[子どもがほしかった][子どもを持つことを考えていなかった][子どもを諦めていた]、影響要因としては、<レシピエントの状態><自身の体調><生まれてくる子どもへの懸念><夫の意向><レシピエントに子どもを見せたい><医療者の説明><同様の体験者の情報>があげられた。【考察】生体肝移植ドナーの子どもを持つことに対する思いには、レシピエントの状態やドナー自身の体調がよいことが影響していたと考えられた。またレシピエントが小児の場合、レシピエントの世話や今後の状態悪化、これから生まれてくる子どもへの懸念も影響要因となっていた。生体肝移植ドナーが安定した身体状態で、安心して妊娠・出産を意思決定できるための医療支援が重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在までに面接調査が実施できた研究協力者が7名であり、当初予定していた3施設のうち1施設の調査が実施できず対象人数に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.面接調査の実施…面接調査が実施できていない1施設および他施設にも研究協力を依頼する。 2.データの分析…(1)録音した面接内容を逐語録にする。(2)データから、妊娠・出産後の体験と妊娠・出産に伴う問題点、医療支援に関する部分を文脈に留意しながら抽出し、コード化する。(3)コード化したデータの抽象度を上げ、データを比較検討しながらサブカテゴリー化する。(4)サブカテゴリーを類似性と相違性に留意しながら、カテゴリー化する。(5)生体肝移植後に妊娠・出産を体験したドナーの体験と妊娠・出産に伴う問題点、ドナーが医療者に求める支援として抽出されたカテゴリーの特性と構造を検討し、構造図を作成する。(6)分析の信頼性・妥当性を確保するために、質的研究指導者のスーパーバイズを継続的に受ける。(7)この分析結果に医学的見地からみた問題点や評価なども加えて考察し、今後の生体肝移植後に妊娠・出産を体験するドナーに必要な医療支援について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当該年度の実施計画であった面接調査が実施できず、データ収集のための旅費を使用しなかった。またデータ入力のための人件費も使用しなかった。 (使用計画)当該年後実施できなかった面接調査を実施するため、データ収集のための旅費やデータ入力のための人件費が必要となる。
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