研究実績の概要 |
糖尿病患者会の現状を明らかにし,同病者支援について検討するために,平成27年10月に関西地区の医療施設413件に対し,無記名自記式質問紙法を実施し,158件の施設から回答を得た(回収率38.2%). 患者会のある施設は69.0%,患者会のない施設は31.0%であった.患者会のある施設の参加者は,65歳以上が83.5%であり、患者会の開催は,「活動していないは22%、6ヶ月毎は22%が一番多く,次いで月1回21%,4~5ヶ月に1回18%,2~3ヶ月に1回17%であり,勉強会やレクレーション,医療者や同病者との交流が行われていた.「活動していない」場合は,「参加者の高齢化で参加する人がいない」等が理由であった.患者会の運営で困っているが70.6%あった.会員のほとんどが高齢であり,核となりうる患者がおらず,医療関係者による企画・運営が行なわれていた.ウオーキングなどのイベントを主催しても,日時の関係や身体面への影響から参加者が集まらず,イベントが限定される悪循環を招いていた.さらに,会費収入に頼る組織運営は会員数の減少により資金面の確保が難しく企画内容や運営の制限を招いていた.また,インターネットによる情報収集ができるようになり,患者会から情報を得る必要がなくなったことが特に壮年期の人の参加を阻んでいると考えられた. 患者会のない施設は,その都度患者指導をしていることで必要性を感じていなかった.また,施設で開催する時間や機会・医療スタッフの負担などから,糖尿協会,中核病院の患者会への参加を促していル場合や,勉強会などの催し時に患者間の交流を促していた.現在は自施設でそれぞれに開催しているが,糖尿病患者数が増加していることから、地域を包含した患者会の開催やインターネットを利用した相互支援など,時間や環境を考慮した多様な患者会のあり方が示唆された.
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