研究課題/領域番号 |
15K11611
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研究機関 | 四條畷学園大学 |
研究代表者 |
藤永 新子 四條畷学園大学, 看護学部, 准教授 (70508663)
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研究分担者 |
大田 博 四條畷学園大学, 看護学部, 助教 (10739775)
東 ますみ 神戸女子大学, 看護学部, 教授 (50310743)
鈴木 幸子 四條畷学園大学, 看護学部, 教授 (60285319)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / ピアサポート / ICT |
研究実績の概要 |
ICTを利用したピア・サポートシステムを11名の患者で1年間実施した。利用者11名の内訳は男性8名,女性3名,平均年齢50.27±10.08 (SD)歳,平均病歴9.36±7.34(SD)年,有職者は9名(81.8%)であり,インスリン治療を行なっているものが3名(27.3%)で、平均HbA1cは7.35±1.20(SD)%,平均BMI29.7±4.57(SD)であった.1人当たりの月平均投稿回数は26.0±26.54(SD)回,平均閲覧回数は,78.0±63.25(SD)回であった.投稿・閲覧は開始4か月までは徐々にコミュニケーションが増加していたが,5か月以降は徐々に回数が減っていた. システム利用が療養支援に及ぼす影響について,影響を及ぼした内容と影響を及ぼさなかった内容を比較してみると,影響した内容では,日常的会話を通して,「他者比較による自己管理への意識強化」「自己管理への承認」や「日常的な気がかりへの励まし」等同病者同士の繋がりがコミュニケーションにより発展したことが,さらに相互支援が得られる機会となっていた.一方で,「病状やレベルの相違に伴う陳腐な情報」「目的の未達成」「ネガティブな生活の自覚」を抱いており,参加者の求める知識や共感が得られる機会に繋がらなかったことで不満や物足りなさを感じていたことが,コミュニケーションに影響し療養支援に繋がらなかったといえる.さらにお互いを知る機会として対面式の交流会を3回開催したが、いずれも投稿や閲覧の多い人が参加しており、物足りなさを感じている人への支援には繋がらなかった。今後は、グループの規模だけでなく,同病者との繋がりに意義を見出すような,例えば,自己管理へ同じ価値観を持った者同士やシステムに求める目的などを把握し,日常会話にとどまらず互いが学びあえるようなシステム運用について考察していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年間の利用期間において、システムエラーや利用者からのシステムに関する要望などがあり、システムの見直しを行っていたこと、投稿内容のビッグデータの解析に時間を要しているため研究に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点において、システムも正常に稼動し、1年間運用した。さらにシステム利用状況やシステムで交わされた内容の分析は修了している。しかし、今回新たに交流会を企画し、交流会の参加により投稿や閲覧への影響があったのか、対面式の交流会の必要性について検討していく。また、投稿や閲覧の時間帯、返信のタイムラグなどについても詳細な分析を行ない、社会的役割のある壮年期の人が利用できるシステム運用についても今後詳細に分析していく。さらに利用している人としていない日の二極化が生じていたため、その理由についても検討し、誰でもが利用で切るシステムを構築していく。また、効果的な療養支援のために,参加者の個人特性の把握やグルーピング,参加者の学びの機会となるような専門家の介入方法について分析していき、自己管理の一助になるためのICTを利用したピア・サポートのシステム運用についての課題を抽出していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
期限内でシステム利用の影響について分析する予定であったが、システムエラーなどの影響で順調に進まなかった。そのためシステム利用者の詳細な分析までに至らなかったため、今後は自己管理に繋がるシステムの開発につなげるための詳細な分析を行なう。 具体的には、投稿されているデータから、投稿のタイミングや自己管理への影響、情報が蓄積できる運用、糖尿病の情報収集となるためのシステム設計などについて分析していく。さらにそれらを海外を含め広く発表していく。
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