本研究は,終末期がん患者の家族間コミュニケーションを促進する看護介入を検討し,看護師の教育プログラムの構築を目指す研究である.最終年度となる今年度は,がん診療連携拠点病院であるA病院において看護師を対象とし,終末期がん患者と家族に対する療養の場の意思決定支援の実際と関連要因について質問紙調査を実施した。調査では,患者と家族の療養の場の意見が合わない場合の具体的な看護実践について尋ね,その看護実践と関連する要因を明かにした。調査の結果については,今後国内の学会に発表する予定である.また,訪問看護師を対象とした調査を行い,これまでの研究の知見を併せて看護師の教育プログラムを検討する予定であった.左記の調査は倫理審査を受けて,質問紙の配布準備を行っていたが,発送直前に新型コロナウィルスの感染拡大によって臨床現場が混乱しつつあったことから,調査の実施を自粛した. 昨年度行った調査の成果は,第34回がん看護学会およびThe 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Scienceに演題を登録した。しかし,新型コロナウィルス感染症感染拡大防止のために、学術集会は参加取りやめや会自体が中止となり,研究成果について他の研究者との意見交換をすることはできなかった.抄録集の誌上では発表することができた。また,昨年度の調査結果を英語論文にまとめ,英文校正を受けた.今後海外の学会誌に投稿する予定である.
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