研究課題/領域番号 |
15K11630
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 清美 京都府立医科大学, 医学部, 助教 (80712934)
|
研究分担者 |
中村 晃和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (10381964)
吉田 直久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50340089)
西田 直子 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (80153881)
東 あかね 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40173132)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 悪液質 / トランスサイレチン |
研究実績の概要 |
外来化学療法中の患者の栄養指導を行うための基礎資料を得ることを目的としている。以下が平成29年度の実績である。 外来化学療法中のがん患者のうち、協力が得られた290人が対象者である。がん悪液質の状態にある外来化学療法中のがん患者を明らかにするために、2004年に三木によって開発された日本人に適応した悪液質の評価指標であるmGPS( modified Glasgow Prognostic Score)を用いて分類した。その結果、外来化学療法中のがん患者の約8%に悪液質がみら、消化器系がんや再発・進行性がんが多かった。このように全身状態が悪いにも関わらず、化学療法のために通院している状況があるために、患者のQOLを考慮しながら関わることの必要性が示唆された。 協力が得られた111人の対象者にトランスサイレチン値を用いて、外来化学療法中のがん患者の栄養評価を行った。その結果、トランスサイレチン値が正常より低かった患者は、約6割であり、胃がん、膵臓がん患者に多かった。このことから、胃がん、膵臓がんは、低栄養状態をきたしやすい状況に加え、さらに化学療法により低栄養のリスクが高まることが示唆された。 また、長期の栄養指標としてアルブミン値と短期の栄養指標としてのトランスサイレチン値を用い、栄養評価を実施した。その結果、アルブミン値とトランスサイレチン値が正常値より低値を示した低栄養の患者は24人(21.6%)であった。アルブミン値が正常値であるが、トランスサイレチン値が低値の低栄養になる可能性がある患者は、43人(38.7%)であった。これらの結果より、アルブミン値が正常であっても,トランスサイレチン値が低い低栄養状態のリスクを抱えている患者が多いことが明らかとなり、早期に外来化学療法の栄養管理が重要であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「外来化学療法中の患者を対象とした栄養管理ガイドラインの開発と検証」を目的とし、京都府立医科大学附属病院の外来化学療法センターにてがん患者を対象とした栄養評価を実施した。 今年度は、外来化学療法中のがん患者に対して、栄養素・食品群別摂取量を明らかにするために、食事記録調査を実施した結果を学会発表し、現在論文を査読付きJournalに投稿中である。 また、外来化学療法中のがん患者のがん悪液質の実態を明らかにした。 さらに、継続調査として、研究協力が得られている患者の3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の栄養状態の推移を調査し、データ解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度、がん悪液質の状態にある外来化学療法中のがん患者の実態を学会発表予定である。 また、継続調査として、研究協力が得られている患者の3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の栄養状態の推移を調査した。その結果を基に、トランスサイレチン値と血清アルブミン値を用いて、生存分析を行い、その結果を学会発表および投稿予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、外来化学療法中のがん患者に対して、栄養素・食品群別摂取量を明らかにするために、食事記録調査を実施した結果を査読付きJournalに投稿中である。論文投稿掲載費用が必要であるために今年の予算が必要である。 また、がん悪液質の状態にある外来化学療法中のがん患者の実態を日本看護科学学会、および日本がん看護学会学会発表するための費用とする。
|