研究目的: ホスピス・緩和ケア病棟および在宅療養中の終末期がん患者と家族を対象に、研究者が面接者となり共にライフレビュー・インタビューを実施することが、死別後の家族にどのような影響を与えるのか、家族の語りから質的に明らかにする。 結果: 研究協力者は4家族であった。うち、1家族はライフレビュー・インタビュー後の患者逝去前に辞退され、遺族インタビューを実施したのは3家族6名である。死別後の家族にライフレビュー・インタビューがどのような影響を与えていたのかについてインタビューしたデータを再分析した結果、【ドキュメントを活用し、故人について話すきっかけとなる】【死別体験を通して自分の生き方を考える】【故人とのつながりを自らの生き方に組み入れる】【患者は幸せな生であったと振り返る】【ライフレビュー・インタビュー内容を悲嘆の苦しみなく振り返ることができる】に加えて、【患者のために自身の役割は果たせたという達成感】、【死別後から今日までの日常を生きている実感】が抽出された。 考察:終末期にあるがん患者と家族と共に実施するライフレビュー・インタビューが死別後の遺族に対する影響はライフレビュー・インタビューの実施そのものだけでなく、冊子を作成する経過での研究者とのやりとりや死別後の遺族インタビューも含めた結果であると考えられる。患者と家族と共に実施したライフレビュー・インタビューやその後のインタビューにおいて聴き手となった研究者に語ることによって、【死別後から今日までの日常を生きている実感】をもたらしていた。これらは、実施者によるグリーフケアにつながることが示唆された。
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