研究課題/領域番号 |
15K11633
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
辻 あさみ 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (60310794)
|
研究分担者 |
瀧藤 克也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (00254540)
山口 昌子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (00554536)
堀田 司 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50244744)
鈴木 幸子 四條畷学園大学, 看護学部, 教授 (60285319)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
上田 伊津代 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助教 (90530709)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 低位前方切除術 / 排便機能障害 / 大腸がん患者 / 患者交流会 / がんサバイバーシップ / がん患者の就労支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、直腸がんで低位前方切除術を受けた患者の術後のセルフケア能力の再獲得に向けた支援と就労支援を目的とするグループ介入プログラムを開発し、その効果を検証することである。これまでの研究で、LAR後に排便機能障害のある患者には、教育的支援や情緒的支援が必要であることが明らかになっている2-5)。 そこで本研究は、LAR術後で排便機能障害のある患者に教育的支援と情緒的支援を含む患者交流会を開催し、その有効性を明らかにし、がん患者におけるQOLに関連するがんサバイバーシップを高める支援を検討する一助とすることを目的とした。研究デザインは前向き縦断研究で、乳がん患者の教育モデルを参考にした患者交流会による介入を3回実施し、対象者は自由に参加できるようにした。その結果、対象者はLARを受けた患者84人に研究依頼の文書を郵送し、30人から同意が得られた(同意率35.7%)。本研究では介入前後に回答が得られた26名を分析対象とした。自記式質問紙による調査を1回目の会の1か月前(プレテスト)および3回目の会の5か月後(ポストテスト)に行った。調査項目は以下のように設定した。結果、本研究では、患者交流会に参加することで参加者は排便機能障害に関する情報を入手し、それに対して対処でできるようになった。「DI下痢」が低下し、それに関連して「Global health status/QOL」が高くなった。「DI下痢」の変化は患者交流会への参加回数と関連していた。このようなことは、患者交流会の有効性を示していると考えられる。「DI下痢」の変化は「Global health status/QOL」と「SF社会的機能」に関連していたが、排便機能障害の尺度とは関連がなかった。このことは「DI下痢」の低下が排便機能障害の改善によるものではなく、患者交流会に参加して排便機能障害の知識を得て対処できるようになったことが示していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、直腸がんで低位前方切除術を受けた患者の術後のセルフケア能力の再獲得に向けた支援と就労支援を目的とするグループ介入プログラムを開発し、その効果を検証することである。これまで、排便機能障害のあるLAR後患者を対象に教育的アプローチと情緒的アプローチを目的とするグループ介入を実施し、量的な分析を実施した。その結果、介入した対象者は患者交流会に参加することにより排便機能障害の知識を得て対処できるようになったことが示唆された。 平成29年度は量的分析により結果を明らかにすることにとどまり、質的分析に至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、直腸がんで低位前方切除術を受けた患者の術後のセルフケア能力の再獲得に向けた支援と就労支援を目的とするグループ介入プログラムを開発し、その効果を検証することである。これまで、排便機能障害のあるLAR後患者を対象に教育的アプローチと情緒的アプローチを目的とするグループ介入を実施し、量的な分析を実施した。その結果、介入した対象者は患者交流会に参加することにより排便機能障害の知識を得て対処できるようになったことが示唆された。 平成29年度は量的分析により結果を明らかにすることにとどまり、質的分析に至らなかった。平成30年度は、介入を実施した対象者へインタビューを実施し、質的分析を行い、結果の信頼性妥当性をより明らかにする予定である。 また、本研究の介入方法が就労への支援として効果的であるかについても分析をする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、介入効果を量的分析による解析に時間を費やした。そのため、平成30年度に研究期間を延長し、介入した対象者へのインタビューによる面接調査を実施する。さらに、その結果を質的に分析を行い、介入効果の検証を行う。
|