研究課題/領域番号 |
15K11634
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
黒田 寿美恵 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (20326440)
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研究分担者 |
山内 栄子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (20294803)
松井 美由紀 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (30511191)
船橋 眞子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (50533717)
中垣 和子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (90420760)
片山 友里 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助手 (10778765) [辞退]
永井 庸央 県立広島大学, 保健福祉学部, 助手 (70433381) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 集学的治療 / がんサバイバー / 生活の再構築 / 看護実践モデル |
研究実績の概要 |
集学的治療を受けるがんサバイバーへの看護においては,治療の一連の過程を重視した,単独治療を受けるがんサバイバーの看護とは異なる独自の系統的な実践が必要である。生活の支援を職責とする看護師には,集学的治療を受けるがんサバイバーの一連の治療過程における生活の再構築を促進する支援を行う責務があることから,有効な看護実践モデルを開発することは極めて重要であり,かつ急務である。このモデルを適用した看護実践により,集学的治療を受けるがんサバイバーは主体的に治療に参加し,積極的に治療の影響に対処し,新たな生活を作り上げていくことができるようになる。このことは,がんサバイバーが治療の最大利益を得て自分らしく生き抜くことにつながると考える。以上より,本研究は,集学的治療をけるがんサバイバーの一連の治療課程における生活の再構築を促進する看護実践モデルを開発することを目的としている。 モデル開発はvan Meijelら(2004)が提唱している根拠に基づく看護介入を開発する方法を参考に行う。開発手順には,①問題を記述する,②看護介入をデザインするために必要なものを積み上げる(文献検討,問題とニーズの分析,既存の実践の分析),③看護介入をデザインする,④看護介入の妥当性を検証する,が含まれる。2019年度は,②看護介入をデザインするために必要なものを積み上げる,ために問題とニーズの分析を行った。手術と術後補助化学療法を受ける大腸がんサバイバーを対象に,術後から術後6~8か月にわたって縦断的に面接調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。大腸がんサバイバーの生活の再構築過程は,「今まで通り働く自信の揺らぎ」「術後の食生活はほどほどに」「副作用対策の習慣化」「がんからの一時退避」「がん治療を続ける意味の探求」「自分らしく」が相互に影響しあうものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
面接調査の完了が予定より遅れた。本研究は,集学的治療(手術と術後化学療法)を受ける大腸がん患者を対象として,術後から化学療法5-6コース目までに4回の面接調査を行うものである。紹介を受けた対象者の初回面接時には術後補助化学療法の実施が未定であり,病理診断結果を受けて3分の2程度の対象者が化学療法を実施しないか,あるいは実施することとなっても不安が強く研究協力の継続ができないとの申し出があったためである。2018年度末になってようやく予定人数が完了したため,2019年度に分析に着手し終了した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長したことに伴い,2020年度には文献検討の結果と2019年度の分析結果を踏まえて看護実践モデルを構築し,検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,大腸がんで手術と術後補助薬物療法を受ける患者を対象に,術後6か月頃まで継続的に計4回の面接調査を実施する計画であった。術後薬物療法を受ける可能性のある患者の紹介を得て,手術後退院前に第1回の面接を実施したが,実際には薬物療法を実施しなかった患者が多くおり,予定していた対象者数を満たすのに時間を要した。分析後の論文投稿準備,および看護実践モデルの構築と検証のために研究期間を延長し,これらの実施のために次年度使用額が発生した。2020年度は,論文投稿準備のための文献複写,看護実践モデルの検証のための旅費に研究費を使用する。
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