再発・転移を告げられたがんサバイバーは、治癒の希望を打ち砕かれ、死を意識させられる。また、再発・転移の治療にいつまで耐えられるのか、社会生活をどこまで取り戻せるのか、将来の展望は不確かなものである。そのため、がんであることにとらわれず、自分らしく、豊かな生き方を見い出し、生きていくことを支援する必要がある。しかし、生き方を支援するためには、看護者が直接あるいは問題解決的にかかわるのではなく、がんサバイバー自身のもつ力を信じて、その力を発揮できるように支援することが重要である。そこで、本研究は、再発や転移を経験したがんサバイバーのストレングスモデルを基盤とする看護援助方法を開発することを目的とした。 平成29年度は、がん看護専門看護師を対象にストレングスを基盤とした再発・転移を経験したがんサバイバーへの看護支援について、インタビューガイドを用いた半構成的面接を8名に実施した。その結果、がん看護専門看護師がとらえるストレングスには、【自分らしく生きる上での価値観】や【正しい病状認識】、【後悔のない最期に向かう構え】、【自分の望む生き方】、【がんとともに生きてきた経験】などが抽出され、再発・転移を経験したがんサバイバーの『最期まで自分らしく生きるためのストレングス』が明らかになった。また、その看護援助には、【価値観を見いだす支援】【正しい病状認識を得る支援】などの『ストレングスを引き出す支援』、【自分の望む生き方を叶える支援】などの『ストレングスを支える支援』、【がんサバイバーに寄り添う支援】、【がんサバイバーの生き方に価値をおいた支援】などの『がんサバイバー主体の支援』が抽出された。再発・転移を経験したがんサバイバーのストレングスを基盤とした看護支援は、ストレングスの理念を基盤に、ストレングスを引き出し支える支援であることが明らかになった。
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