研究課題/領域番号 |
15K11640
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
吉岡 さおり 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (60454881)
|
研究分担者 |
片山 はるみ 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90412345)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 終末期がん患者 / 在宅療養移行 / 職種間連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、終末期がん患者の在宅療養移行の促進を目指し、がん患者と家族に対する在宅療養移行支援能力および職種間連携力の育成に焦点をあてたジェネラリストナース教育プログラムの開発を目的としている。 平成29年度は平成28年度計画に引き続き、質問紙調査を実施した。データ分析の結果、終末期がん患者の在宅療養移行支援における看護師の役割行動の実態として、「在宅療養移行に関する情報の共有」「医師からの説明後に患者家族と意図的に関わる」「在宅療養移行に関する患者の思いを家族に聴く」「ケアの対象として家族と関わる」などチーム内の情報共有や家族を重要視した関わりは高く評価され、「在宅療養移行に関する研修会への参加」「後輩への助言」「自身の実践を振り返る時間を持つ」「自職種および他職種の知識やスキルの活用」「プライマリーナースとして早期から関わる」など自己研鑽に関する項目や他職種との連携、早期からの介入は低く評価する傾向がみられた。また、既存尺度との関連においては、終末期ケアにおけるコミュニケーションスキル尺度の3下位尺度と中程度の相関(r=0.43~0.50)がみられ、一般的なコミュニケーションスキル(ENDCOREs)の6下位尺度およびチームアプローチ評価尺度(TAAS)の4下位尺度と低~中程度の相関がみられた(r=0.31~0.45, r=0.29~0.50)。さらに、属性や学習経験による比較では、在宅療養移行支援経験有群、家族看護、在宅看護、職種間連携に関する看護基礎教育以外の学習経験有群において、看護師の役割行動の得点が有意に高かった。このことから、看護師の役割行動には、コミュニケーションスキルや職種間連携力、終末期がん患者の在宅療養に対する理解を深める家族看護や在宅看護の学習経験が関連していることが示唆された。対象者数が当初の予定を満たしていないため、今後も調査を継続する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
質問紙調査において、予定していた施設における調査は終了したが、1施設当たりの対象者数が当初の予測より少なく、分析において現時点までの実態の把握、関連要因の傾向を検討するレベルにとどまっている。従って、研究フィールドを調整して継続して調査を実施してデータを解析し、プログラムの構築を進める必要があることから、研究期間を延長している。以上の理由から「(4)遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を継続し、十分なサンプル数を確保する。その上で、終末期がん患者の在宅療養移行支援におけるジェネラリストナースの役割行動の実態把握、多変量解析による関連要因の検討を行う。また、役割行動項目については、項目分析や因子分析の手順を経て、教育プログラムの評価指標としての活用の可能性を探る。さらに、分析結果をもとに退院支援看護師、地域連携看護師に聞き取り調査を行い、教育プログラムのコンテンツおよび教育方法の検討を行い、プログラムを構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
量的研究におけるサンプル数を事業期間内に必要数集めることができず、その成果の発表のための旅費、質問紙回収等に係る郵送費等が未使用となっている。継続して調査が必要であるため、打合せ旅費、郵送費、成果の発表のための旅費としての使用を計画している。
|