乳がん患者が納得した術式選択への意思決定を支援することを目的として、乳腺外科医・形成外科医・看護師などの医療者と乳房再建術を経験したピアが協働した意思決定支援プログラムを開発した。 ピア協働型術式決定支援プログラムは3部構成で開発した。第1部は形成外科医による「乳房再建術の基礎知識」第2部は看護師による「納得した術式決定をするためのポイント」第3部は乳房再建術を経験したピアとのグループディスカッションと実際に再建後の乳房を見て触れ体感してもらう構成とした。2018年1月より月1~2回実施しており、参加者は100名を超えた。参加者からは、術後の整容性だけではなく、乳房再建術の有無が自分の生活へ与える影響としてイメージ化が図れたとの意見や、形成外科医や乳腺外科医の術前の外来でのコミュニケーションが促進されたとの感想も多く聞かれた。 本プログラムの参加者は、診断後から術式決定までの時期の患者だけではなく、一次二期再建のエキスパンダー挿入中の患者も参加している。この時期の患者は術後エキスパンダー挿入に伴う身体的変化への対応方法や生活上の工夫、人工物か自家再建かの術式選択、乳頭乳輪の形成方法などへの不安を多く感じていることが明らかになった。乳房再建術の包括的支援は継続して多職種がかかわることが重要である。 発表では、本プログラムの参加者の選択した術式の特徴と術後の術式決定に対する満足度と本プログラムへの満足度との関連についても今後報告する予定である。
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