研究課題/領域番号 |
15K11643
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
高橋 奈津子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10328180)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん看護学 / がん・生殖医療 / 意思決定支援 / がんサバイバー / 長期的支援 |
研究実績の概要 |
本年度は、乳がんサバイバーのがん治療過程における妊孕性温存に関する意思決定の体験について、特に女性の生き方を模索する体験に焦点をあてて、個々の体験世界を詳細に記述することを目的にインタビュー調査をすすめた。現在まで乳がんサバイバーの既婚者で、妊孕性温存をすることを意思決定した対象8名にインタビュー調査を実施し、現在まで現象学的アプローチにて4名の結果を分析しまとめた。妊孕性温存の意思決定の体験は、がん治療前に、高度生殖医療(卵子・受精卵・卵巣組織凍結保存)を実施するか否かの意思決定に加え、その後、がん治療の完遂が見えてきたところから、実際に保存した受精卵を移植するかどうかという新たな意思決定が求められていることが明らかになり、長期的な支援の必要性が示唆された。本研究では、自らの遺伝子を受け継ぐ子供を自ら産み育てる生き方ができる可能性を産む性と定義し、受精卵保存までの過程では、「産む性の低下を意識する」「産む性を閉ざす」「産む性に覚醒する」「産む性の保持にかける」の4つのテーマが見出された。そしてこの時期は感情が大きく揺れることも明らかとなった。その後の受精卵を移植するまでの過程においては、「がん患者である自分の産む性に対峙する」「自分なりに産む性をいかす」という2つのテーマが見出され、産む性の意味も異なっていく面があることも明らかとなった。 今後は、さらに乳がん患者の分析をすすめるとともに、対象を血液がんサバイバーに広げ、インタビューを継続、もしくは血液がん患者の妊孕性温存の意思決定に関わった看護師を対象にインタビュー調査をすすめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Oncofertilityに関する研究のうち、乳がんサバイバーのがん治療過程における妊孕性温存をすることを意思決定した人の予定人数の面接調査、分析は終了したが、乳がんサバイバーで妊孕性温存をあえて選択しなかった人、血液がんサバイバーのリクルートが難しく、面接調査がすすんでいない。
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今後の研究の推進方策 |
乳がんサバイバーで妊孕性温存をした人の意思決定における体験について学会発表、投稿する。 血液がんサバイバー対象に面接調査がすすめられるよう、リクルート、各協力施設の倫理審査の準備をすすめる。血液がんサバイバーのリクルートが難しい場合は、看護師を対象に調査できるよう準備をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液疾患の患者のインタビューのリクルートがすすんでいないため、インタビューにかかる諸費用の支払いができなかったことと、データ分析、論文作成のためのパソコン機器類が未購入となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
血液疾患の患者のインタビュー調査をすすめる。パソコン機器、質的分析ソフトの購入および 海外学会へ発表のための渡航費、海外雑誌への投稿の英文校閲に使用する。
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