今年度は、口腔癌患者の職業別リワークプロセスに応じた会話明瞭性アセスメントツールを開発し、その信頼性と妥当性を検証した。 信頼性は、安定性の検討のために、テスト-再テスト法として会話明瞭性アセスメントツールに対する調査を調査1と調査2の2回に分けて実施した。その結果、相関係数はr=0.81 (p < 0.01)であった。内的整合性を検討するために会話明瞭性セスメントツールのCronbach’s α係数を算出したところ、全体では0.83(p < 0.01)、各因子は0.70(p < 0.01)~0.78 (p < 0.01)の範囲にあった。 妥当性は、構成概念妥当性の検討のために因子分析(最尤法-プロマックス回転)を行い、【発音に対する家族・親しい友人の理解】に関する8項目、【職場の上司・部下・同僚との会話正確さ】に関する7項目、【渉外・顧客との会話流暢性】に関する7項目が抽出された。基準関連妥当性の検討のために、アセスメントツールの下位因子および全体の得点と①発音明瞭度調査:舌尖音・舌中央音・舌後方音に関す発語の歪み音と正常音の検証[音響分析装置-NEC発話確認検査]、②会話正確性調査:会話正確性に影響する最大舌圧値ならびに舌可動性の検証[JMS舌-口蓋接触パターン測定器検査]、③会話流暢性調査:会話スピードと舌尖音・舌中央音・舌後方音の使用タイミングと会話スピードの検証[PentaxビジピッチIV検査]の3つの調査の得点との相関で検討した。会話明瞭性アセスメントツールの下位因子および全体の得点と3つの調査との相関係数は、r=0.41~0.89 (p<0.01)であり相関が認められた。
|