研究課題/領域番号 |
15K11647
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 久美 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (60226503)
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研究分担者 |
林 直子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30327978)
山内 栄子 愛媛大学, 医学部看護学科, 教授 (20294803)
府川 晃子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (30508578)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 再発乳がん / 診断・治療期 / 看護実践 / 専門看護師 / 認定看護師 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、がんとともに生きる力を支える心理社会的看護介入プログラムの内容及び方法を検討するために、診断・治療期の再発乳がん患者に対する看護実践の様相について、がん看護の専門看護師・認定看護師の視点から以下の研究を行った。 【目的】がん看護の専門看護師や認定看護師が、再発乳がんと診断され、がん治療を継続している患者に対して、どのような看護実践を行っているのか、その様相を明らかにすることを目的とした。【方法】再発乳がん患者の看護に関わっている専門看護師や認定看護師15名を対象に、フォーカスグループインタビューを行った。得られたデータは、質的帰納的に分析した。【結果】専門看護師や認定看護師は、診断時に再発への衝撃を受け、無力感や悔しさを抱いている乳がん患者に対して、<患者の思いを包容する><再発予防に対する患者の労をねぎらう>という実践を行っていた。そして、再発治療への抵抗感を示す患者に対して<患者が納得した治療選択を支える>ことをし、抗がん剤治療が始まると、生活に支障を及ぼす副作用や終わりのない治療への患者の思いに対して<患者とのつながりを維持する><ひたすら患者をエンパワーする>というケアをしていた。抗がん剤治療の効果が減弱してきたり、病状が悪化してくる時期になると、看護師は<患者の病状を見極める><患者の病状認識のギャップを埋める><患者が納得した治療中止を支える>という実践を行い、患者が望むエンド・オブ・ライフを過ごせるように<多職種と密な連携を図る>努力をしていた。【結論】専門看護師や認定看護師は、再発乳がん患者の思いに寄り添いながら、治療の継続や中止を支え、最期まで患者のQOLを維持できるように先を見越した援助を提供していた。これらの結果は、再発乳がん患者のがんとともに生きることを支える心理社会的看護介入プログラムの開発に役立つと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がんとともに生きる力を支える心理社会的看護介入プログラムを作成する予定であったが、再発乳がん患者の視点のみならず、看護師の視点からも再発乳がん患者への看護実践の様相を明らかにした方が、再発乳がん患者への介入時期や方法、介入内容の明確化につながり、より良いプログラムにつながると考えて、がん看護の専門性をもつ看護師を対象に研究をしたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度実施した再発乳がん患者の病気体験からとらえたストレス対処力に関する研究結果と、平成29年度に実施した診断・治療期の再発乳がん患者のケアに携わっている専門看護師や認定看護師の看護実践の様相に関する研究結果を基盤に、「再発乳がんとともに生きる力を支える心理社会的介入プログラム」を考案し、臨床適用するための研究計画書を作成して、研究倫理委員会に申請したのち、データ収集をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 論文投稿として英文誌を考えていたが、追加の研究を急遽したため論文作成までに至らなかったことから、英文翻訳代が使用できなかった。 (使用計画) 今年度は論文投稿できるように心がけることとする。
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