研究課題/領域番号 |
15K11657
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
平谷 優子 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60552750)
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研究分担者 |
堀口 和子 兵庫医療大学, 看護学部, 准教授 (30379953)
小寺 さやか 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30509617)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家族看護学 / 小児看護学 / 家族機能 / 病児 / ひとり親家族 / 尺度開発 / アセスメントツール |
研究実績の概要 |
これまでに実施した,ひとり親家族の家族機能に関する研究成果や入院中病児をもつ家族の家族機能に関する研究成果をもとに,ひとり親家族もアセスメント可能な,「入院中病児をもつ家族のアセスメントツール」を作成することを目的とした.アセスメントツールを作成し活用する目的は家族支援であるため,アセスメントツール開発に先立ち,入院中病児をもつ家族の期待する家族支援について明らかにした. 研究への協力・同意が得られた4病院に入院中の病児をもつ家族を対象に,1時間程度の半構成面接調査を行った.参加者の承諾を得て面接内容を録音し,逐語録を作成してデータとした.データの分析は4名の研究者で,類似性,差異性に着目してコードを分類し,共通した内容をサブカテゴリーおよびカテゴリーとして抽象度を高めた.参加家族は7家族(全員が母親,うち1家族はひとり親家族)で,平均年齢は31.9歳(範囲は26~40歳)であった.病児の年齢は平均4.6歳(範囲は0~14歳)で,入院を必要とする原疾患は不明熱,小児がんなど多岐にわたっていた.分析の結果,入院中の病児のいる家族が看護師に期待する家族支援として「病室環境を整える支援」「家族への情報的支援」「家族を気遣う支援」「家族の思いを理解して関わる支援」「家族の相談相手になる支援」の5カテゴリー,14サブカテゴリーが抽出された.本研究結果は,日本家族看護学会第23回学術集会(日本,山形)で発表予定である.また,本調査結果を踏まえて,「入院中病児をもつ家族のアセスメントツール」で測定する概念などについて議論するために,研究分担者と科研会議を開催した. 平成28年度は,家族が期待する家族支援の実現可能性について明らかにすることと,並行して,「入院中病児をもつ家族のアセスメントツール」の開発を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は,「ひとり親家族用支援ニーズアセスメントツール」を作成する予定であったが,これまでの研究成果を集積する中で,ひとり親家族に限定したものを用いることで,ひとり親家族は社会的スティグマを感じる傾向があることが明らかとなったため,ひとり親家族もアセスメント可能な「入院中病児をもつ家族のアセスメントツール」を作成することとし,計画を変更した.加えて,アウトカムが家族支援であるため,家族機能だけではなく,家族が期待する家族支援についても明らかにする必要があると考え,調査を追加した. 平成27年度は,10月に大学を異動したことに伴い,倫理委員会の再申請や科学研究費の入金手続きなどに時間を要し,研究活動を一旦休止せざるを得ない状況があり,研究の進捗が当初の計画よりやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,家族が期待する家族支援をどのようにすれば実現できるのか,看護師に協力を得て,その実現可能性について明らかにする予定である.並行して,「入院中病児をもつ家族のアセスメントツール」を作成し,フィールドを確保して,アセスメントツールの信頼性・妥当性を確認するためのプレテストを実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の途中に大学を異動したことに伴い,倫理審査の再申請や科学研究費の入金手続きなどに時間を要し,研究活動を一旦休止せざるをえない状況が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に,今年度達成できなかった研究内容を達成する.調査内容も追加しているため,そのための費用,平成27年度の研究成果発表にかかる費用が必要と考える.
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