研究課題/領域番号 |
15K11658
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千場 直美 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (90347005)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女性 / 月経教育 / 月経前症候群 / 更年期 / ヘルスケア / 母娘関係 / 家庭 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究は、祖母・母親・娘の3世代にわたって月経および更年期など、家庭における女性のヘルスケア教育の実態を把握し、家庭内における女性のヘルスケア教育のあり方について検討し、家庭内で実施できる女性のヘルスケア教育プログラムを構築することである。 【方法】倫理委員会の承認後、母娘間における月経及び更年期に関する教育に実態について質問紙調査を実施した。母親からの回収数が少なく分析はできなかった。娘である女子大学生113名(有効回答率44.5%)のデータを統計学的に分析した。質問紙の主な内容は、健康習慣、月経前症候群の程度、心理状態、母娘関係などである。 【結果】対象の平均年齢は20.6±3.9歳であった。女子大学生の月経前症候群(PMS)はBMIが低い(p<0.05)、健康習慣が悪い(p<0.05)、不安や抑うつ傾向(p<0.01)との関連性がみられた。三砂らの母娘関係尺度とPMSとの関連性について、下位項目「親密」「受容」「支配」「服従」のうち服従関係が強いと娘のPMS症状は強く(p<0.05)、母親の更年期症状も強い(P<0.05)傾向がみられた。母親から月経教育をうけた経験のあるものは約半数であったが、母娘関係において「親密」「受容」傾向にあるものがより教育を受けていた(p<0.05)。 【考察】以上の結果より、女子大学生のPMSには健康習慣、心理状態、母娘関係との関連性が明らかになった。家庭内における女性のヘルスケアの実態には母娘関係の影響も示された。家庭内における母親から娘に対する女性のヘルスケア教育は、母娘双方の健康状態の改善、母娘関係の向上に役立つ可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学院におけるコース開設2年目であり、その準備、教育、院生の論文指導、他施設との調整など業務拡大し、多忙であった。また、熊本地震の影響により公私ともに多忙であり、エフォートが十分に確保できず、関係者との連絡調整も難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、母娘間における女性のヘルスケア教育の実態を把握し、家庭内における効果的な教育内容を検討し、実践に向けた女性のヘルスケア教育支援モデルを構築することを目標としている。今回、更年期世代である女子大学生の母親からの質問紙の回収数が少なく、データ分析に至らなかった。そのため、今年度も更年期世代の母親からのデータ収集を継続し、データを蓄積し、分析を行う予定である。また、娘世代は女子大学生に限らず、20歳代、30歳代女性からのデータを更に収集し、その実態とニーズを把握できるように努める。 その後、ヘルスケア教育支援モデルを構築し、希望者には教育を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に発生した熊本地震の影響により、公私ともに多忙となり、熊本の連携研究者との連携が十分できなくなり実施が遅れた。加えて、所属大学院のコース変更などに伴い業務が拡大し、エフォートの確保が難しく、研究時間が取れなかったため延長している。 今年度は質問紙調査のデーター数を増やすため、調査実施地域を拡大するための旅費が必要となる。また、調査の実施や健康教育の実施のために補助者が必要であり、人件費が発生する。更に、得られたデータは成果発表するため、学会用の旅費が必要である。その他は質問紙や、教育のための資料印刷費が必要である。
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