研究課題/領域番号 |
15K11662
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90232959)
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研究分担者 |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (40178885)
窄野 昌信 宮崎大学, 農学部, 教授 (70253515)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | mastitis |
研究実績の概要 |
乳腺炎の発症は、母乳育児を困難にする。発症危険因子として経験的に食事があげられているが、科学的根拠は全く解明されていない。このため、統一したガイドラインが存在せず、母親たちを混乱させている。そこで、本研究課題では、乳腺炎発症と食事成分との関係を実験的に解明し、更に炎症を抑制する食事成分の検証を行うことを目的とした。 スクロース摂食マウスは、マルトース摂食マウスと比較して、乳汁うっ滞時に乳腺組織で炎症が重篤化することを確認してきた。一般的にスクロースの構成糖であるフルクトースの過剰摂取が肝臓に炎症を発症させるので、フルクトース摂食マウスとグルコース摂食マウスとの比較を行ったところ、前者に炎症の傾向は見られたものの有意な差は認められなかった。これは予想外の結果だったので、更に、好中球の遊走マーカーや、マクロファージのマーカーを指標として異なる飼料を摂取したマウスの乳腺組織を評価した。すると、フルクトース摂食マウスでは炎症が確認出来なかったが、スクロース摂食マウス及びグルコースとフルクトースの混合食摂食マウスで炎症が確認出来た。このことは、フルクトースを単独で摂取するよりも、スクロースとして、或いはスクロースの構成糖であるグルコースと共に摂取することで炎症が重篤化することを示唆するものであった。次年度に十分な検証を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の項に記載の通り、フルクトース単独摂食の場合では、想定した効果が得られなかったため、試験区を増やして再実験を行った。その結果、スクロースの構成糖を単糖として混合して摂食させた場合に、フルクトース単独で摂食させた場合よりも、よりハッキリとした効果が見いだせた。少し回り道をしたので、当初予定していた、炎症発症に必要な最低摂食量の実験は出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
再現性を確認するために、再度、スクロースによる実験が必要である。また、使用動物種を増やす必要性もあると思われる。1年程度遅れたが今後取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要、現在までの進捗状況の項で記載したとおり、想定外の結果が得られ、当初予定した実験の一部を延期し、新たな実験を実施する事で理由を考察したため。また、それに伴い共同研究者の計画にも変更が及んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後の研究の推進方策の項に記載の通り、1年程度の遅延があるが、残りの期間で取り戻して行く過程で計画通り使用したい。
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