研究課題/領域番号 |
15K11666
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
渡邊 知佳子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20366503)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 妊孕性 / 女性 / 成熟期 / 日常生活行動 / 不妊症 / 教育プログラム / 冷え / 深部体温 |
研究実績の概要 |
1.研究計画・方法の再検討 生殖補助医療の専門家や不妊症患者の看護を実践する研究者からの助言もあり、研究計画内容を再検討した。本研究は当初、不妊治療中の女性と自然妊娠した女性を対象に、思春期から不妊治療開始前または妊娠前の日常生活習慣、食事や嗜好品、生活環境や精神的ストレス等を質問紙調査する計画であった。しかし、対象者が不妊治療中や妊娠期または育児期でありストレスを感じやすい状況にあること、10代後半から20代のころを想起して回答してもらうこと、また対象者自身が研究に参加する利益を感じにくいこと等を鑑み、同様の対象者に向けて調査した先行の科研費研究課題のデータを、再度分析することに変更した。
2.成熟期の未婚・未妊女性に対する調査の準備 再分析の結果、不妊治療群と自然妊娠群に明らかな日常生活行動の違い、妊孕性に影響する特徴はあまり見受けられなかった。不妊治療の経験のある女性に面接を行い、さらに先行研究や文献等から情報収集をした結果、不妊治療中の女性は“冷え”や、喫煙、飲酒、カフェイン飲料等の嗜好品等を意識し、対策を講じている一方で、活動や休息、食事に関してはあまり注意を向けていないことが分かった。これらのことを踏まえ、妊孕性の低下に影響する因子と、不妊、不妊治療、妊孕性全般の知識に関する項目を追加し、質問紙を作成した。質問紙を作成後、プレテストを行い、回答しにくい項目や回答に要する所要時間等を検討し、修正をはかった。また、研究対象者の募集を行う手段についても具体的に計画をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、不妊治療中の女性と自然妊娠した女性に対する質問紙調査を行う予定であったが、既存のデータを再分析することにし、研究計画を変更した。 平成28年度は成熟期の未婚・未妊女性に対する調査を行う。計画の見直しに伴い、倫理審査委員会の承認を受けなければならず、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.成熟期の未婚・未妊女性に対する調査 成熟期の未婚・未妊女性に対する調査は、当初は質問紙のみを予定していたが、不妊治療中の女性が“冷え”を意識していたことから、未婚・未妊女性の冷えの意識や現状についても調査をしたいと考えた。そのため、体温測定と日常生活行動に関する教育プログラムを実施し、その効果を検討することも研究計画に加える。具体的には、1回目のデータ収集として深部体温測定と質問紙調査、及び構成的面接調査を行い、その後、妊孕性の維持と健康感の向上をめざした日常生活行動に対する教育を実施する。2回目はそれから約3ヵ月後に、身体面及び精神面の変化があったのか否か、変化が見られた場合は具体的にどのような事象なのかを、質問紙と構成的面接により調査する。データ収集は季節や外気温を考慮し、10月から始めて3月までにはデータ収集を終了したいと考えている。
2.不妊治療中の女性への教育プログラムの効果の検討 不妊治療中の女性に対して、上記の成熟期女性と同様の調査及び教育プログラムを実施する。調査は教育プログラム実施前と、実施1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に行い、対象者の心身の変化や反応により、教育プログラムの効果を検討する。データ収集の時期も10月から6ヵ月を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の見直しを行ったため、平成27年度は当初予定していた方法でのデータ収集を行わず、先行研究課題の既存データの再分析を行った。そのため、研究費を使用せずに済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、まず体温測定の調査に必要な物品の購入を予定している。深部体温計は既存のものを使用するが、それ以外の血圧計や体組成計、調査環境や条件を一定にするための物品を購入する。その他に、調査用紙の印刷費、教育内容をまとめた資料冊子の印刷費、研究対象者への謝金、研究補助の人件費で研究費を使用する予定である。
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