未婚・未妊の20代の社会人女性を対象に、健康と妊孕性維持に関する健康教育を実施し、その効果を検討した。健康教育の前後と1ヵ月後に、不妊症及び妊孕性低下の知識と意識、日常生活行動について質問紙調査を実施した。また健康教育後に、印象に残った内容や意識の変化を自由記述で回答してもらった。 不妊症及び妊孕性の知識13項目に関して、教育前に正解率が低かった項目は、体外受精で出生した新生児の割合(30%)、体外受精後の妊娠率(39%)、不妊症夫婦の割合(44%)で、正解数の平均は9.1個(SD=2.0、min=2、max=13)であった。教育後は12項目が95%以上の正解率で、正解数も平均12.6個(SD=0.7、min=10、max=13)に上昇した。教育1ヵ月後の調査では、不妊症夫婦の割合(56%)、妊孕性低下の年齢(82%)以外の11項目は90%以上の正解率で、正解数も平均11.9個(SD=1.4、min=5、max=13)であった。 健康教育前に「自分なりにライフプランがある」と回答した者は46%だったが、教育後は85%が「ライフプランを立てようと思う」と回答し、1ヵ月後も「ライフプランがある」の回答は86%であった。また、教育前は「不妊予防のために日常生活で意識していることがある」と回答した者は7%だったが、1ヵ月後は34%に増加した。冷え症の予防行動を実践している者も増え、「靴下を履く」と回答した者は教育前13%だったが、1ヵ月後62%に増加した。 自由記述では、教育により妊孕性低下の年齢や影響要因の知識を得たこと、自らの生活行動やライフプランを考える機会になったとの記載があった。また、実際はこのような教育の機会が無いことや、男性にも同様の教育が必要とも述べられていた。以上のことから、成熟期前半の女性を対象にした、妊孕性維持に向けた健康教育の必要性と有用性が明らかとなった。
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