研究課題/領域番号 |
15K11683
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柳原 清子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70269455)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 高齢者の死 / がんの死 / 家族リジリエンス / 調整スキル / 家族システム / 地域包括ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1つは多死時代における、「死別の時」に対処する家族リジリエンスを査定するための、家族リジリエンスの構成や内容に関する質的研究であり、2つ目は、臨死期に多発する家族システム内・外での、コンフリクトを調整していくスキル開発である。2016年度は調査実施として以下5本行った。当初エスノグラフィー等の質的手法で「死別の時」の家族のもつ力の構成要素探索を計画したが、変更して実態調査を予定より早めて実施した。この研究活動の視座は、死別の時を<高齢者の死>と<病気とりわけ‘がん’での死>に分けて、家族リジリエンスを、①家族成員(当事者と取り囲む一人ひとり)がもつ力、②システムとしての家族がもつ力(凝集力や塑性性)、そして③社会との関わり力(共助、公助への関与)の3段階で捉えている。また、調査対象を、家族支援を行う看護職と、地域のシステムそのものを設定し、それらの組み合わせで、調査を行った。 (1).高齢者の終末期×地域システム:K市の「最期まで住み続けられる地区・そうでない地区の要因分析」-ビッグデータを用いた実態調査.(2).高齢者の終末期×家族リジリエンス:K市の「家族介護者の就労変化と経済損失」調査とH市での「全要介護世帯での介護負担感と「死」をめぐる認識。家族リジリエンス調査」-アンケート調査.(3)‘がん’での死×家族リジリエンス査定:毎月1回の家族看護研究会でのケーススタディ分析-家族成員各々がもつ力および相互作用のダイナミックスから、支援すべきところの焦点化をはかる。リジリエンスの構成要素の探索と看護師の調整力アップの2つのねらいを持つ。(4)‘がん’での死×看護師の支援困難感と関連要因:アンケート調査(5)‘がん’での死×看護師の肯定的実践と認識および関連要因:アンケート調査 以上、断続的に多面的に調査研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の計画では、質的研究手法を用いて家族リジリエンスの構成要素を明確にし、それをもとに調査票を作成して、地域での高齢者家族を対象とした「死別の時」の統計的実態調査を計画したが、全てが同時進行的に進んでいる。その意味では、計画以上のスピードと言えなくもないが、ケーススタディでの質的研究分析が遅れており、全体としてはおおむね、という評価になる。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は、本研究の最終年度となる。統計学的な調査が先に進行しており、裏付けのためのヒヤリングなど質的調査をK市で実施する予定である。また、ケーススタディからの膨大なケースデータを整理して、「死別の時」に臨む家族の、家族リジリエンスを明らかにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文公表のための英文校正費用を準備していた。予定していた論文公表が平成29年度になるため、63,225円の未使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、本研究の最終年度となる。予定していた論文公表が平成29年度に延期した分も含め、論文の英文校正費として使用する計画である。 また、平成28年度に行った調査結果も含めて、国際学会で発表を2つ計画しており、その参加費として使用する予定である。
|