研究課題/領域番号 |
15K11685
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
金子 あけみ 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80588939)
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研究分担者 |
田久保 由美子 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (20385470)
山口 智美 横浜創英大学, 看護学部, 准教授 (40613279)
臼井 雅美 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 教授 (50349776)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 壮年期男性 / ライフスタイル / 健康増進行動 / 家族機能 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
生活習慣は、個人と家族が長年築いてきたものである。壮年期男性に対する生活習慣病予防対策は、個人に対する保健指導・健康教育だけでなく、家族の発達段階や家族システム全体を考慮することが必要と考えられる。しかし、家族機能や家族に対する満足感が個人のライフスタイルにおける健康増進行動(HPLPⅡ)と関連しているかどうかは検証されていない。本研究は、個人のライフスタイルの要素と家族機能との関連を調査することで効果的な生活習慣病対策を検討することを目的とする。 初年度の平成27年度は、健常な壮年期男性のライフスタイルにおける健康増進行動と関連要因について把握するため、インターネット調査により412名から回答を得て、対象者の特性を明らかにし、記述統計を算出した。 平成28年度は、平成27年度のインターネット調査によって得られたデータを詳細に分析することとし、ライフスタイルにおける健康増進行動(HPLPⅡ)を規定する各要因間の関連性を明確にするため重回帰分析、共分散構造分析を行った。重回帰分析を行った結果、自己効力感、家族満足のみが有意な予測変数であり、家族機能はHPLPⅡを有意に予測することはなかった。R2は0.261であり、自己効力感と家族満足がHPLPⅡの分散の26%を説明した。共分散構造分析では、データとモデルの適合度は満足できるレベルになかった。 壮年期男性の自己効力感が高いほど健康増進行動が高いという関連があるので、自己効力感を高める働きかけをすることによって、直接的あるいは間接的に健康増進行動を促すことができると考えられる。家族満足感が低くなるとHPLPⅡも低くなる関連性も認められたことから、継続的に検討する必要性があると考えられた。 本年度は家族機能に関する質的調査を行い、家族と健康増進行動との関連性について探求する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は初年度に実施したインターネット調査結果を詳細に分析した。その結果、家族満足感は有意な予測変数であったが、家族機能は有意な予測変数とならなかったため、改めて家族機能や家族発達に関する文献的検討を加えたため、平成28年度に予定していた家族を対象としたインタビュー調査の研究フィールドの確保や調査準備の開始が遅延したため、遂行はやや遅れている状況であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、先行研究における家族機能に関する文献調査から知見を得て、壮年期にある家族発達の状況や健康維持・増進に関する要因を踏まえたインタビュー調査を行う予定である。インタビューガイドの作成にあたっては、分担研究者との合同会議を開催し、内容及び妥当性等について検討する。対象となる家族を確保するため、協力企業等に対し、積極的に働きかけを行う。 インタビュー調査の実施により壮年期男性の健康増進行動と家族機能及び家族関係等との関連を分析を進め、それらの影響要因について検討する。 研究成果については、日本看護科学学会、日本家族看護学会等の学術集会での発表をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に実施したインターネット調査のデータについて詳細に検討する必要が生じたため、本来、平成28年度に実施する予定であった壮年期男性の家族を対象するインタビュー調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、壮年期男性の家族に対するインタビュー調査を実施するため、分担研究者と協力して、対象家族の確保及びインタビューガイドの作成等の準備を進める。そのため、打ち合わせ等に係る交通費、文献収集等に係る費用等が見込まれる。 研究倫理審査を通過後は速やかに調査を開始し分析を進める。分析終了後は、学術学会等での発表に向け、分担研究者らと論文作成のための諸費用が見込まれる。
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