研究課題/領域番号 |
15K11690
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
美甘 祥子 畿央大学, 健康科学部, 講師 (10613804)
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研究分担者 |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 出生前診断 / 妊婦 / 夫 / 不安 / 胎児感情 |
研究実績の概要 |
出産年齢の高齢化や医療技術の進歩により、妊婦の出生前検査に対しての関心が高まっている。さらに、2013年に非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)の開始の際の報道で、出生前診断の対象となる妊婦だけではなく、一般の医療機関に通院するローリスク妊婦にも、出生前診断を希望するものが増加した。しかし、遺伝の専門家である臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーの数は少なく、遺伝カウンセリングを受検できる施設も限られており、一般の医療機関に通院するローリスク妊婦への支援体制は十分ではない。また、出生前診断を受検するか否かの意思決定において、妊婦は、夫と十分に話し合い、理解を深め、同意することが重要である。そこで、出生前診断を受けるか否かの意思決定の際の一般医療機関に通院するローリスク妊婦と夫のニーズを明らかにし、支援体制を構築する。 H27年度は、妊婦と夫の夫婦関係に関して文献検討を実施し、出生前診断を受検した経験を持つ、一般医療機関で出産したローリスクの褥婦と夫に半構成的面接法を実施し、カップルで分析を行う研究の研究実施計画書を作成し、倫理審査を受けた。研究協力が得られた一般医療機関の研究協力者に、研究実施の説明をし、了承を得た。現在は、研究対象者に、研究協力を依頼し、リクルートと登録を行っている。また、国際学会にて、一般医療機関で出産したローリスクの褥婦の出生前診断を受検した体験について発表し、本テーマの研究領域についての情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【出生前診断を受けた経験のある褥婦と夫へのインタビュー調査】H27年度は、4~8月に妊婦と夫の夫婦関係、児への愛着形成について文献検討をした。さらに、国際学会に参加し情報収集を行った。9~10月に研究実施計画書を作成した。11月に畿央大学研究倫理委員会に倫理申請をし、承認された。研究協力が得られた一般医療機関の研究協力者に、研究実施の説明をし、了承を得た。H28年2月より、対象者のリクルートを行い、出生前診断を受検し、結果に問題の無かった妊婦、数名から研究協力の了承を得た。今後、その妊婦が出産し、母児共に問題が無ければ、再度、研究への依頼をし、同意が得られれば、半構造的面を実施する。質問内容が出生前診断という個人的な内容であったため、対象者の倫理的配慮について研究協力施設の研究協力者との話しあいの時間を、予定よりも多く費やした。さらに、出産後の入院期間中に行う夫婦揃ってのインタビューであるため、夫の都合を予測することが難しく、予定よりも研究参加予定者の集まりが悪い。進行状況としてはやや遅れている。 【妊娠22週以降の妊婦とその夫への質問紙調査】H27年3月より、ローリスク妊婦とその夫に出生前診断を受けるか否かの意思決定の際の知識や意識、サポートについて質問紙調査のための質問紙と研究実施計画書を作成を開始した。妊婦とその夫をカップルで分析をするため、研究参加者のリクルートが難しく、回収率が低いことが予測され、前倒しにし、準備を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
【H28年度】(出生前診断を受けた経験のある褥婦と夫へのインタビュー調査:H27年度引継ぎ)研究参加者のリクルートが進まない場合は、研究協力施設を増やし、研究参加者を募る。リクルート期間を当初の予定より延長し、12月までとする。1月~2月にデータの解釈について検討を繰り返し、妥当性の確保を行う。3月以降、学会発表と論文投稿のための準備を行う。また、5~7月に、「出生前診断を受けた経験のある褥婦と夫へのインタビュー調査」の補助調査として、出生前診断を受けた経験のある妊婦のインターネットへの書き込みの分析をする。10~12月に、出生前診断を受けるか否かの意思決定の際の不安や認識、夫のサポートに関して学会発表を行う。(妊娠22週以降の妊婦とその夫への質問紙調査)4~6月に研究実施計画書、質問紙を作成し、7月に倫理審査を受ける。8月~2月まで、質問紙を配布する。回収率を高めるために、妊婦健診だけではなく、夫も参加する両親学級で研究参加者をリクルートする。3月結果の分析を行う。 【H29年度】(妊娠22週以降の妊婦とその夫への質問紙調査:H28年度引継ぎ)4~5月、学会発表と論文投稿のための準備を行う。6~8月に、「出生前診断を受けた経験のある褥婦と夫へのインタビュー調査」と「妊娠22週以降の妊婦とその夫への質問紙調査」の研究結果をもとに、ローリスク妊婦とその夫のための出生前診断を受けるか否かの意思決定の際に用いるリーフレット、それを評価する質問紙、研究計画書を作成し、倫理申請を受ける。9~12月にリーフレットと質問紙を配布する。1月に、質問紙の分析を行う。2~3月、報告書の作成、研究終了。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問内容が出生前診断という個人的な内容であったため、対象者の倫理的配慮について研究協力施設の研究協力者との話しあいの時間を、予定よりも多く費やした。さらに、出産後の入院期間中に行う夫婦揃ってのインタビューであるため、夫の都合を予測することが難しく、予定よりも研究参加予定者の集まりが悪いことから、H27年度に実施予定であった、出生前診断を受けた褥婦と夫へのインタビューの開始が遅れている。H28年6月より、随時、インタビューを開始していく予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
出生前診断を受けた褥婦と夫へのインタビューの実施後に、随時、テープおこし代の委託代として使用する。
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