研究課題
平成29年度は、本研究目的である「MFICU入院妊婦の当事者の視点で入院生活の質を評価」並びに、「母親役割獲得への影響要因」について、総括とまとめを行った。成果1:MFICU入院妊婦に「対象者が自らの重要生活領域を自己評価する個人的QOL 評価(以下、SEIQoL-DW)」を用いて調査を行った結果、QOL評価は必ずしも高いとはいえず、その理由は、response shiftの起こりにくさが考えられる。成果2:MFICU入院妊婦にとって、〈家族との関係〉は重要なQOLの構成要素である。ただし、入院によって一時的に家族の中で担っていた役割が遂行できない場合は、QOL全体を低下させる。個人的QOLの評価が低い群は、QOLの構成要素に〈胎児の成長・健康〉を挙げない傾向にあり、〈家族との関係〉、〈会話・コミュニケーション〉に関するQOL領域の充足度が低くかった。成果3:MFICU入院中と産後1か月(MFICU入院時をふり返って評価)の2時点でSEIQoL-DWを調査した結果、4人中3人がQOL構成要素が変化していた。変化のあった領域は、〈家族との関係〉、〈胎児の成長・健康〉〈医療者との関係〉であった。生活領域に変化のあった対象者は、価値観の変化が生じ、QOLに影響を及ぼしていたことが示唆された。成果4:成果1.2.3により、医学的管理が重視された現状のMFICUに入院しているハイリスク妊婦に実施されている支援と、実際にハイリスク妊婦が挙げたQOL構成領域や充足状況が一致していない可能性が示唆された。ハイリスク妊婦の当事者視点のQOL構成領域を更に明確化し、ケア提供者に向け実践可能な具体的支援を示す必要があると考えられた。
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