研究課題/領域番号 |
15K11719
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
大林 陽子 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (70551224)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 出産 / 外傷後ストレス / ソーシャルサポート |
研究実績の概要 |
研究テーマに関する文献検討の結果、出産による心的外傷後ストレスに影響する要因として、出来事に対する認知、ストレス対処能力、ソーシャルサポート、外傷後成長、育児に対する自己効力感および育児肯定感等が考えられた。その中で、本邦における先行研究では、ソーシャルサポート、外傷後成長、育児に対する自己効力感や自己肯定感との関連については検証されていなかった。このため、これらの従属変数を「日本語版ソーシャルサポート尺度(岩佐ら)」、「日本語版外傷後成長尺度(宅ら)」、「育児に対する自己効力感尺度(金岡)」を用いて測定し、独立変数の心的外傷後ストレス症状との関連を産後早期から6ヶ月までの縦断的調査により検証する。この関連を明らかにすることにより、産後に出産による心的外傷後ストレス症状をもつ女性のストレスを軽減するためのソーシャルサポートの強化やストレス対処能力の意味づけの方策が得られ、臨床での心理社会的ケアに適用できると考える。 先行研究より、妊娠・分娩・産褥・新生児の合併症をもつ女性は、出産による心的外傷後ストレス症状が強いとされていたため、ハイリスクの母子を対象に測定した出産による心的外傷後ストレス症状について、そのスケールの妥当性・信頼性を検証する必要がある。 今後は、研究計画書をもとに所属機関の研究倫理審査を受審する準備を進め、平成28年度中に調査を開始、終了できるようにしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、平成27年度中に予定していた文献検討、および、研究計画書の作成について、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究計画書をもとに、所属機関の研究倫理審査を受審するための準備(書類作成)を進めている。研究の精度をあげるため、研究分担者の名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻 教授・入山茂美先生の指導・助言を受けながら進める。 本調査は、ストレスに関する内容が含まれるため、対象者の心理的負担に配慮するなど、倫理的課題がある。その対応として、調査を依頼する施設との連携、および、心理的サポートの体制を整える必要がある。 本研究では、調査の対象が産後早期から6ヶ月までの縦断調査を予定しているため、同一対象者の2回目以降の不参加によるデータ収集の遅延が予測される。このため、データ収集の遅延を予防する調査依頼方法を工夫する必要がある。また、データ収集の長期化の懸念もあるため、その対策として、調査施設を愛知県と三重県の総合・地域周産期医療センターを4~5施設ほど確保する予定である。これにより、調査が広範囲、および、多数の対象者への依頼となるため、研究協力者の協力を得て、調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の所要額は、ほぼ予定どおり使用した。次年度使用額は、おおよそ端数としての範囲である。
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次年度使用額の使用計画 |
9,600円の当該助成金は、翌年度分として請求した助成金と合わせて「人件費・謝金」に使用する予定である。主に、調査に必要な人件費として使用する。
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