研究課題
1.目的:助産師による分娩アニメーションを用いた分娩の進み方の個別的な説明が、産婦と助産師自身に及ぼす効果を明らかにするため、対照群のデータ収集を行い介入群と比較した。2.方法:1)データ収集内容と手続き(1)産婦:分娩第1期、2期に助産師が従来の方法である口頭で、内診後分娩経過を説明し、産褥1日目に無記名自記式質問紙を配付・回収した。既収集データである介入群と対照群のデータを比較した。(2)助産師:内診後の分娩の進み方について産婦に説明する方法、説明の際難しいと思うこと、そう思う理由に関するフォーカスグループインタビューを対照群終了時実施した。3.結果:1)介入群初産婦35名、経産婦36計71名と、対照群初産婦24名、経産婦32計56名の有効データを初経別に比較した。その結果、①分娩の進み方の理解度では、初産婦において「赤ちゃんの回転運動が理解できた」「分娩後どの時点まで進んでいるのか理解できた」は介入群の方が有意に得点が高かった。経産婦において「赤ちゃんの回転運動が理解できた」は介入群の方が有意に得点が高かった。「出産体験自己評価尺度」では、初産婦では「信頼できる助産師がそばにいた」は介入群の方が有意に高かった。②3名の助産師に対するフォーカスグループインタビューの結果、介入群への説明の方が対照群より「伝えやすい」「イメージしやすい」などの意見があった。4.考察:分娩の進み方の理解度では、介入群と対照群に有意な差が見られたこと、「出産体験自己評価尺度」による満足度の結果から、分娩アニメーションは、産婦と助産師のコミュニケーションツールになっていた。また、分娩アニメーションが助産師の説明のしやすさにつながっていたことから、分娩アニメーションを用いた分娩の進み方の個別的な説明が、産婦の分娩理解、満足度を高め、助産師自身にも効果があったと考えられた。
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