研究課題/領域番号 |
15K11737
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
真野 祥子 摂南大学, 看護学部, 准教授 (90347625)
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研究分担者 |
川上 あずさ 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00434960)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 注意欠如・多動症 |
研究実績の概要 |
本研究は、注意欠如・多動症(以下、ADHD)児の不適応問題(特に破壊性行動障害)と夫婦の関係性を含む家族機能との関連を明らかにすることである。夫婦関係や家族機能、子どもの行動特徴の見方は、父親と母親とで認知の仕方が異なっていることが考えられるが、今回の研究では、まずは母親を対象として、母親からみた子どもの行動特性と夫婦関係・家族機能に関するデータを収集することとした。 ADHDの症状は、子どもが乳児、幼児、学童へと成長・発達するにしたがって状況依存的に変化していき、多くの子どもの場合、集団行動が求められる小学校入学後に問題が多発するようになり、受診に至って診断を受ける場合が多い。そこで本研究の被験者は、①ADHDと診断された学童の母親、②診断を受けて1年程度経過している子どもの母親、③再婚等ではなく、両親がそろっている母親と設定した。これらの条件を前提として研究協力者である医師から被験者の紹介を受け、研究参加への同意を得てインタビュー調査を行った。 データ収集の途中の段階でデータ分析した結果、ADHD児の親の特性として親自身がADHD(発達障害)の特性を持っていることがあり、この場合、特に親子関係、夫婦関係の難しさがあることが考えられた。そこで、ADHD(発達障害)の特性を持つ母親に関する先行研究をレビューし、児童精神医学、発達障害を専門とする研究者にも相談し、親が持つADHD(発達障害)の特性をどのような方法で明らかにし、その特性をどのように分析して結果に反映していくかの検討を行った。今後は、その示唆に沿ってデータを収集していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夫婦関係や家族機能、子どもの行動特徴の見方は、父親と母親とで認知の仕方が異なっていることが考えられる。当初の研究計画では「ADHD児をもつ父母」を被験者として設定していた。しかし、父親と母親の両者からデータ収集への協力を募ることは予想以上に困難で、被験者募集に時間を要した。そこで、今回の研究では、まずは母親を被験者として、母親から見た家族機能・夫婦関係に関するデータを収集することとした。 その後、データ収集をし、いくつかの症例を分析した結果、ADHD児の親の特性として親自身がADHD(発達障害)の特性を持っていることがあり、この場合、特に親子関係、夫婦関係の難しさがあることが考えられた。親が持つADHD(発達障害)の特性をこの研究で明らかにして結果に反映すべきかどうかを含め、検討が必要になった。以上の理由で遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
児童精神医学、発達障害を専門とする複数の研究者に、親が持つADHD(発達障害)の特性の問題をこの研究で扱うべきかどうかを相談した。その結果、親が持つADHD(発達障害)傾向が加味されたデータ収集し、その点を含めて夫婦関係・家族機能と子どもの行動特徴との関連性を明らかにすることこそ、この研究の強みでもあるという結論に至った。今後は、データが飽和状態になるまで、さらに調査を継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集の途中の段階でデータ分析した結果、ADHD児の親の特性として親自身がADHD(発達障害)の特性を持っていることがあり、この場合、特に夫婦関係、家族関係の難しさがあることが考えられた。そこで、この研究で親が持つADHD(発達障害)傾向を扱うべきかどうか、扱う場合、どのようにデータを収集して分析していくのかという検討が必要になり、一時期、データ収集を中止していたため繰越金が生じた。 児童精神医学、発達障害を専門とする研究者に上記の内容を相談し、親の持つADHD(発達障害)傾向に関するデータ収集も行い、分析に反映していくことが適切であるという結論に至った。次年度からは、親が持つADHD(発達障害)傾向を把握するため、既存の質問紙(質問紙購入)を参考にしたうえでデータ収集する。また、収集したデータが飽和状態に達した時点で共同研究者と分析(旅費)し、学会発表(旅費)、論文としてまとめる(投稿料)予定である。
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