研究課題/領域番号 |
15K11738
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
齋藤 祥乃 藍野大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80553784)
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研究分担者 |
有馬 久富 福岡大学, 医学部, 教授 (20437784)
内藤 紀代子 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30433238)
上島 弘嗣 滋賀医科大学, 学内共同利用施設等, 特任教授 (70144483)
三浦 克之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90257452)
岡山 久代 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90335050)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 尿中Na/K比 / 妊娠高血圧症候群 |
研究実績の概要 |
わが国では妊娠年齢が高齢化していること、妊婦のBMIの増加により、妊娠高血圧症候群が増加している。妊娠高血圧症候群は、ハイリスク妊娠のなかでも母児障害の最も大きな原因であり、その発症を予知・予防することは重要な課題である。 これまでに、一般成人においては、高血圧の予防には減塩が有効であることが明らかにされているが、カリウムの多く含まれている食品の摂取も、血圧を低下させる効果があるとされ、尿中に排泄されるNa/K比が注目されている血圧に対するマーカーの1つとなっている。 そこで、一般成人においての尿中Na/K比が、血圧上昇の危険因子となることが妊婦にも応用できるとすれば、妊娠高血圧症候群の発症予防の指標として臨床での実践が可能となる。本研究は、妊婦の尿中Na/K 比が妊娠高血圧症候群におよぼす影響を疫学的に解明することである。 研究の実施計画は、1.妊娠初期(15 週まで)、妊娠中期(妊娠16週以降27週まで)、妊娠末期(29週以降)、産褥(1ヶ月検診まで)の4回の尿中Na/K 比を測定し、①血圧の値、②妊娠高血圧症候群発症の有無との関連、③尿蛋白、④尿中アルブミン、⑤血小板、⑥出生時の児体重との関連を分析するものである。 研究の方法は、滋賀県下で研究協力の得られた産科施設において研究対象基準に適合する妊婦に対しリクルートし、血圧測定および血液検査:産婦人科外来受診時のデータを使用。尿測定:妊婦健診時のルチンの検査項目である検尿の残りを使用し、検査会社にデータ分析依頼。妊婦のNa、Kと血圧の認識は質問票を用いデータの採取を実施し、現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度に引き続き、本申請研究費により調査を実施した。 平成28年度の目標として約150名の対象者からの調査を予定していたが、現段階では妊娠初期の同意が126名と目標を下回った。原因については、日によっては分娩や処置と重なることもあり、産婦人科外来受診の全例の同意は困難であり、取りこぼしが生じたことである。 しかし、進捗状況としては、中期までの進行が19名、末期までが12名、初期から産褥までの4回の全てのデータ収集完了者は44名であり、遅れがちではあるものの、着実にデータ収集は進んでいる。 調査項目(①尿中Na、K・Na/K比、②血圧、③妊娠高血圧症候群の発症数、④尿蛋白、⑤尿中アルブミン、⑥血小板、⑦出生時の児体重、⑧質問紙―妊婦のNa、Kと血圧の認識 、塩分、野菜、果物の摂取状況)についても計画通りの内容で実施することができており、問題は生じていない。 平成28年度は、100例の段階でデータベースの整備を計画していたが、4回の全てのデータ収集完了者が予定を下回った。しかし、対象の属性データも同時進行でデータ入力を進めており、40名の段階で、統計解析用データセットの変数の外れ値、欠損値などをみて、データセットに問題がないことを確認しデータ・クリーニングを行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度計画は、1.調査の継続、2.統計解析である。 ●調査の継続 本申請研究費により平成28年度と同様に調査を実施する。平成28年度の目標として約150名の対象者からの調査を予定していたが、進捗に遅れが生じているため、前年度の遅れ分24名を追加、さらに全例4回の全てのデータ収集完了は困難なため(早産・転院・里帰り分娩・取りこぼし等)プラスαとして100名を調査予定とする。期間は12月末の予定。 リクルートは現段階で問題は発生しておらず、このままの調査が実施できると考えるが、200名の目標予定対象数が必要であるため、確実なリクルート実施のため、同意を得るスタッフの増員と調整をはかり、取りこぼしが無い様に努力したい。 ●統計解析 前年度調査および今年度のデータ(4回の全てのデータ収集完了)が100例完了した時点で統計解析(尿中Na/K比を説明変数として血圧、妊娠高血圧症候群発症数、尿蛋白、尿中アルブミン、血小板、出生時の児体重との関連を重回帰分析、共分散分析、ロジスティク回帰モデル等)を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の研究費は1,400,000円を計上していた。しかし、実際の使用金額は、843,922円で残高556,078円を平成29年度に繰り越すことになった。 残高556,078円を繰り越す理由は、1.対象者が当初の予定者数を達成できなかったことから4回分の尿検査代が発生しなかったこと。2.尿検査代の3月分は締めの関係で4月以降に回った事。3.対象者への謝金も4月以降に入ってからの支払いであった為。4.人件費については、平成28年度はリクルート要員を使用しなかったこと。以上からである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究費は、平成28年度の繰越金を加えて2,350,776円である。使用計画は年度計画を修正し、尿検査代金に新規100名、進行中の対象者分82名の予定を当て、774,900円とする(尿中アルブミン900円、クレアチニン・ナトリウム・カリウム各120円―合計1,260円×4回分×100名分+進行中82名270,900円:3回分×51名、2回分×19名、1回分×12名)。 対象者への謝金100,000円(200名分)。調査の実施および打ち合わせに当たっての人件費で800,000円。旅費で500,000円、物品費・その他175,876円とした。
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